シーメンスの日本代表として日本人が社長になるのは私が初めてなんです--織畠潤一 シーメンス・ジャパン代表取締役社長兼CEO(第3回)

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--06年10月にはインターナショナルプレジデントに昇進。日本、アジアパシフィック、東欧、中近東とかなり広いエリアを統括されていました。まったく文化が違う中で、どうやってコミュニケーションをとっていたのですか。

月の半分は出張していましたね。確かに各地域・各国で文化は違いますので、イランやアメリカなど海外で育った経験は役立ったかもしれません。幸い人と会うことや会食も好きなので、現地スタッフとも良く会食や飲みに行ったり、ラウンドテーブルミーティングを行ったりしました。他にも、タウンホールミーティングや営業同行などあらゆる形でコミュニケーションをとり、社員の意見を聞くことを心がけました。私の組織でも約3000人いたのでもちろんいつも全員と会うことはできませんが、少なくとも一年に一回のキックオフミーティングや定例レビューなどを通じて、可能な限り顔が見えて声が聞こえるように、距離間を縮めることは大切にしようと心がけました。

--現場の声に耳を傾けるために全国を回る日本企業の社長は多いですが、意見が実現されなかったと逆に反発が出る場合もあります。

もちろんそのリスクはあります。私もラウンドテーブルミーティングでは最初に「皆の意見を100%実施することは約束できない」と断りを入れていました。その代わり、「聞いた意見は必ず検討することと、進捗や結果を伝えることは約束する」と伝えていました。

意見を言う方も全て通るとは思っていないでしょうが、まったく上は話を聞いてないと感じてしまうと逆にやらなかった方がまし、というような悪循環に陥ります。少しでも好循環を起こすためには、10個のうち1つか2つでも何らかの形で実現させること、せめて変化の兆しを見せること。実際に意見を実現した例もいくつもありますが、「聞いてくれたんだ」「検討してくれたんだ」と、社員が実感できるような実証作りをスピード感をもってやることが大切だと思います。

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