この日、佐藤社長は「株主の皆様、お客様にはご心配、ご迷惑をおかけし大変申し訳ありません」と陳謝した。不正を起こしたトヨタ、ダイハツ、豊田織機、日野の4社で認証業務と開発・生産に関わる一連の工程を改めて点検する研究会を立ち上げ、豊田会長が主導する形で問題点の洗い出しと再発防止策の策定に取り組んでいることも報告した。
認証試験に関する内部調査は6月末の完了を目指して現在も続いており、不正の対象が拡大する可能性も残る。国交省も職員をトヨタ本社に派遣し立ち入り検査を進めており、不正の経緯や原因、悪質性を調べている。結果は6月中に判明する見通しだ。
総会終了後に複数の株主に感想を聞いた。トヨタの株主になって約40年という愛知県在住の70代男性は「トヨタの説明する内容を信じたい。しっかりいい車を造って、売ることが何より重要だ」と注文を付けた。60代の男性株主は「不正が起きていただけに荒れるかと思っていたが、無難に終わってシャンシャン総会という印象だ」と淡々と話した。
相談に乗るのが「院政」なら喜んで
「ダイハツをダメだといっていたが、いまは自分たちがそんなことを言える立場ではないということだ」。トヨタ幹部は危機感を示す。豊田会長も「決めて実行するのは執行メンバー。いつでも相談に乗ることで、メンバーが自らの成長につなげてほしい。それが院政と呼ばれるなら、喜んで院政したい」と強調した。
2024年3月期に5兆円を超える営業利益を叩き出したトヨタ。だが、自動車業界ではEV(電気自動車)、自動運転技術、ソフトウェアなど新たな開発競争が激化している。強みとしてきた安心・安全のブランド力が揺らぐ中、ガバナンス体制の立て直しは急務だ。
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