ただ、そうは言っても清掃は、「これが清潔」という正解をスタッフに伝えるのが難しい。そのため清掃研修では、実際に清掃を行って見せ、「清掃完了状態」を共有する機会を多く作っている。重ねて、社員採用の際、フロントとベッドメイク・清掃担当を分けないのもポイントだ。業務に境界を設けないことで、「誰もが廊下にゴミが落ちていたらサッと拾う」精神を養っているという。
早期発見につながる「睡眠解析サービス」
もう一点、ナインアワーズには大きな特徴がある。カプセルで眠るだけで睡眠解析を行ってくれるサービス「9h sleep fitscan」だ。このサービスは、現代人の多くが抱える睡眠の悩みに着目したもので、その解決の一助となることを目指している。
解析に必要なバイタルデータの収集は、カプセル内に取り付けた赤外線カメラ、集音マイクと、マットレスに設置した体動センサーで行われる。収集できるデータは、眠りの深さ、中途覚醒や寝返りの数、いびきの音量、心拍数、無呼吸になった回数と時間まで多岐にわたる。それに加えて、指標となる数値を基に、異常心拍や呼吸リズムの乱れなども検出される。
これらのデータを独自のプログラムで解析し、翌日レポートをメールで送付するのだ。このレポートにより宿泊者は、自身の睡眠状態を客観的に把握することができ、睡眠習慣の改善につなげられる。
さらに、バイタルデータから睡眠時無呼吸症候群、不整脈、心筋梗塞のリスクが高い数値が出たゲストには、提携医療機関の無料カウンセリングをレポートとは別途案内。医師や専門家の判断を仰ぐことを勧めている。
睡眠解析装置を設置しているのは現在4ホテル360カプセルで、睡眠解析サービスは予約時に選択できる。しかも無料で。利用者は、ナインアワーズ全体では20~60代と幅広いが、解析が可能なホテルは40~60代が約1割増える傾向にあるという。いびきの音や無呼吸を心配した家族から促されて訪れるゲストもいるそうだ。実際、2021年にサービスを開始してから、約7%のゲストに睡眠時無呼吸症候群が検出されている。
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