加えて、サイン、グラフィックデザインを東京2020大会のスポーツピクトグラムなどを手がけた廣村正彰氏が担当。
シャワー、男女フロア、ロッカー、カプセル番号などをひと目で表すデザインで、滞在しやすさの一因となっている。
このようなデザイン性は、ナインアワーズの認知拡大にもつながっている。前述した雑誌はもちろん、TikTokやYouTubeで同ホテルを知って訪れる欧米人も多いそうだ。「日本発祥のカプセルホテルは欧米の方にとって珍しく、浅草寺や東京タワーと並ぶエンターテインメントです。来日前にTikTokやYouTubeで『カプセルホテル』と検索してナインアワーズの動画が表示されたために、カプセルホテル=ナインアワーズと認識して泊まられる方も多いんです」と㈱ナインアワーズ取締役の渡邊保之氏は述べる。
むろん投稿はインフルエンサー自らが行っていて、同社が依頼したものではない。ユニークな建物は「映える」ため、インフルエンサーが放っておかないのだろう。メディアの取材もまた然り。高いデザイン性が、広告の役割を果たしているのだ。
笑顔は不要! 清潔こそがホスピタリティ
ナインアワーズの人気には清潔も大きく関係している。渡邊氏は、
「当社が考えるカプセルホテルのホスピタリティとは、何より清潔です。スタッフの笑顔や会話は不要。むしろ邪魔に感じるゲストもいるでしょう」
と、その重要度を強調する。
しかし改めて、なぜ清潔なのか。理由は、カプセルホテルに共用部が多いことにある。他者が汚した場所やゴミを目にし、ストレスを感じる確率が高いのだ。だからこそ、清潔な空間は大きな安心材料であり、リピーターの獲得材料になり得る。
同ブランドでは清潔を担保するために、チェックアウト後から次のチェックインまでは連泊ゲストも退出させ、全社員で一斉清掃を実施。清掃研修や幹部による視察も定期的に行っている。
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