杉戸高野台・南栗橋という1986年生まれの2つの駅に挟まれているのが、幸手駅だ。開業したのは日光線と同時の1929年と、一気に古くなる。ただし、幸手市の代表駅でもあって、立派な駅舎は2019年に橋上化されたばかりだ。
「幸手駅は近くに日光街道の宿場町がありまして、町を挙げて観光にも取り組んでいるんです。いちばんおすすめなのは、毎年春、桜のシーズン。駅の北東にある権現堂堤の桜です。歩くと40分くらいかかるのですが、桜の時期には渋滞ができることもあって、宿場町を歩いて向かう人もたくさんいます。桜の手前には菜の花も。駅の改札の向かいにはその様子が大きな写真パネルになっているので、ぜひ見てください」(神山駅長)
宿場町の玄関口
神山駅長のそんな言葉に導かれて幸手駅を訪れてみると、確かに見目麗しい桜と菜の花のコラボレーションが、改札の向かいに広がっていた(写真ですけどね)。パネルの脇には駅ピアノ。「桜の時期に、誰かが『春よ、来い』なんて弾いていると、とてもいいんです」と神山駅長である。
いずれにしても、幸手駅は神山駅長が管理する3駅の中でいちばん歴史が古い。日光街道幸手宿にはじまる町の玄関口で、いかにも地方都市らしい駅前風景が広がっている。
とくに旧宿場町に近い東口。駅前広場は大きくも立派で、そこから東に延びる大通りはどことなく懐かしさも残る商店街だ。まだ鉄道のなかった時代、旅人たちが足を休めた宿場にルーツを持つ、古い町。こうした町が、首都圏郊外の小都市の原点なのである。
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