野菜も旅も!パナソニック、eコマース参入の狙い 2040年を見据え、藤沢で地産地消型新ビジネス
創業者・松下幸之助氏の「水道哲学」で知られるパナソニックHDだが、2000年代に入ると中国や韓国メーカーに押され、家電製品の単品売りを基本としたビジネスモデルは競争力を喪失。長く続いた業績不振とリストラを経て、ビジネスモデル革新への模索から生まれたプロジェクトの1つが「ハックツ!」だ。パナソニックHDで移動分野に関する新事業を展開する同社モビリティ事業戦略室で、ひそかに誕生した。
「ハックツ!」は、ほかの社内ベンチャー事業とも毛色が違っている。
モビリティ事業戦略室では、遠隔監視による自律走行ロボットの実証事業や、商用EV(電気自動車)向けフリートマネジメントシステムの合弁設立などをすでに発表している。これらはパナソニックグループの技術やノウハウを活用し、比較的早期のビジネス展開を目指している。
対して「ハックツ!」では他社のソフトウェアシステムを採用。現時点で取り扱っている商品は地元産の農産物や加工食品などが主体だ。いったいなぜ、パナソニックHDはあえて畑違いの新ビジネスを始めたのか。
2040年を見据え、バックキャスティング
「ハックツ!」を所管する村瀬恭通・パナソニックHDモビリティソリューションズ担当参与は次のように語る。
「2040年の日本では、人口減少や少子高齢化がさらに進む一方、地域での人のつながりを基軸とした『ウェルビーイング』が求められる。そうした2040年の社会を想定し、そこからバックキャスティング(「さかのぼる」「逆算」の意味)して新たにビジネスを構築していく必要があると考えた。『ハックツ!』もその一つだ」
モビリティ事業戦略室では、「人の生活圏イコールlast10マイル(半径約16キロメートル)」というコンセプトを設定。「モビリティソリューションを通じて人やコミュニティを元気にしたい。2040年にありたい社会を想い描き、そこでのキーワードとしての地産地消を実現するために新たなビジネスを構築する」と、村瀬氏は意気込む。
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