野菜も旅も!パナソニック、eコマース参入の狙い 2040年を見据え、藤沢で地産地消型新ビジネス
ただ、やっていることは泥臭く、試行錯誤の連続だ。
2024年6月中旬時点での「ハックツ!」の登録ユーザー数は約1070人、加盟店数は27と、着実に増えている。商品の受け取りスポットも6月に江の島島内など新たに市内4カ所が加わり、現在、7カ所となっている。
現在、「ハックツ!」に専属でかかわるパナソニックHDの社員は4人。現場で指揮を執るモビリティ事業戦略室主査の芦澤慶之氏によれば、「サービス開始当初は、パンなど加工品の販売が中心だったが、最近は地元産野菜も徐々に売れ始めている」という。
その芦澤氏は「1年目は地元産野菜をどうやって売ればいいかということばかり考えていた。その難しさを痛感した1年だった」と打ち明ける。ロボットによる配送など奇抜な取り組みも試みたが、その利用者はごくわずかにとどまった。
ただ、試行錯誤を通じて、「手応えを感じている」と芦澤氏は語る。
野菜やパンなどの取り扱いを通じて商品の取り扱いの仕方や物流などのノウハウを取得。2年目の2024年度は、「地元での『旅』に関するテーマにも積極的にチャレンジしていきたい。利用者のネットワークを形成し、『ハックツ!』の今後の成長につなげたい」と芦澤氏は意気込む。
地元のキーパーソンが熱意に太鼓判
心強い援軍もいる。地元でインターネット形式の情報マガジン『湘南経済新聞』を配信する三浦悠介・フジマニパブリッシング代表取締役がその一人だ。
三浦さんは藤沢市で2003年にフリーペーパーとして同新聞を創刊。市内のさまざまな事業者や行政関係者と強いつながりを持ち、「ハックツ!」の事業構想や個別企画作りでも親身にアドバイスしている。フジマニパブリッシングはNEKTONブランドのコワーキングスペースも運営し、無償で受け渡しスポットを提供している。
その三浦さんは「ハックツ!」の取り組みを高く評価し、こう語る。
「これまで藤沢市にはいろいろな企業が入り込もうとしてきた。市役所とも連携協定を結ぶなど、さまざまな取り組みが見られたが、その多くは自社の利益の最大化が目的。それに対して『ハックツ!』の関係者は一生懸命地元に密着し、自社の利益を優先せずに、新たな価値を作ろうとしている。この真摯な姿勢には感動すら覚える」
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