日本のクリエイティブ「独特の強み」の正体 並外れた創造力で「キモノ」を脱ぎ捨てよう

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さて、ここまでで、皆さんが日本の創造力や日本人、そして日本のインサイトに対して興味を感じていただけたなら本望です。もっと詳しく知りたいと思っていることでしょう。ではもう一つだけ、日本独自のインサイトを紹介したいと思います。日本のお母さんと赤ちゃんについてのユニークなインサイトです。

パンパースの「脳育眠」

■パンパース「脳育眠」動画のナレーション
パンパースは最も信頼されてるオムツブランドのひとつです。その特長は最長12時間お肌さらさら。一晩中赤ちゃんのぐっすりを約束することで、一緒に寝ているお母さんも安心して眠ることができます。
しかし、それだけでは日本のママには十分ではありませんでした。過剰な価格競争の中、日本のママにパンパースを選んでもらうには、より明確な価値の提供が必要だったのです。
そこで調査が実施され、日本のママ特有のインサイトが浮かび上がりました。「赤ちゃんはみんなかわいい。けれど、正直なところ、ほかの子より自分の子が賢くあってほしい……」赤ちゃんの脳は寝ている間に、起きている間に体験した記憶を整理することで、成長します。
私たちは、12時間さらさらのおむつが提供する価値と、ママたちが何となく気づいている科学的事実をつなげることにしました。
「寝る子は育つ」
この古くからのことわざを、より新しい、そして脳の発育と眠りを関連づけるコンセプトとして、「脳育眠」という言葉を生み出しました。

 

この場合、ママたちのインサイトは「わたしの赤ちゃんは、社会的にも能力的にもほかの赤ちゃんよりも優れていてほしい」ということです。日本人が日常の生活の中でつねに追求している完璧さとも言えるでしょう。

さて、ここに一枚のお皿があります。PRP発想で作られた物のように見えますね。完璧に完璧を否定しています。実は、これは2週間前に東京で作られたものです。500年前の日本ではありませんよ。いったい誰がつくったのでしょう?

はい、私の小さな可愛いアートディレクターです(会場笑)。2週間前、彼女の1歳のお祝いをしたときのものです。彼女は私に、毎日たくさんの刺激とひらめきを与えてくれます。新しいクリエイティブは、新しい世界、よりよき世界をつくるためにあると私は信じています。そしてそれは、彼女のような次世代、私たちの後に続く次世代のためなのです。そこで、みなさんのヘルプが必要です。

日本は、まだグローバルではない

表紙スライドに使われたこの写真を見てください。タトゥーのある日本女性ですね。世界を変えたいという熱い野望を胸に、欧米製のバイクにまたがっていますね。しかし実のところ、彼女はまだ「キモノ」を着ているのです。日本はまだ、グローバルになりきれていません。まだグローバルではないのです。

ですから、皆さん一人ひとりのヘルプが必要です。日本からもっともっとPRPを引き出し、もっともっとインナーチャイルドを表に出し、一緒に新しい何かを創り出すために。一緒に取り組み新しい何かを共に創造しましょう。ぜひ私にも会いに来て下さい。今夜のカンヌのパーティで、ともに一杯飲みながら。そして私たちのインナーチャイルドを呼び覚ましましょう。「キモノ」を脱ぎ捨てましょう。

ありがとうございました。

本田 哲也 本田事務所代表取締役、PRストラテジスト

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ほんだ てつや / Tetsuya Honda

「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌により選出されている。「PRWeek Awards 2015」にて「PR Professional of the Year」受賞。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社。2006年ブルーカレント・ジャパン代表。2019年より現職。著書に『戦略PR 世論で売る。』(アスキー新書)、『その1人が30万人を動かす!』(東洋経済新報社)など。国連機関のアドバイザーなどを歴任。世界最大の広告祭カンヌライオンズで公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

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