日本のクリエイティブ「独特の強み」の正体 並外れた創造力で「キモノ」を脱ぎ捨てよう
「Perfectly Rejecting Perfection (完璧を完璧に否定する)」
これが日本の創造力を表わす最初のキーワードです。これを「PRP」と呼びましょう。このほうが皆さんにとっても覚えやすいですよね(会場笑)。
PRPは完璧を完璧に否定するという意味です。われわれ日本人は、完璧から少し外れたもの対していわば一種の美意識を感じるのですが、これは実は神道にその根があります。神道はとても古い日本の宗教です。
この会場で神道を信仰している人は何人いますか?(誰も手を挙げず)。はい、そうだと思いました。(会場笑)ここには日本人が少ないのですね。個人的には、意識するしないに関わらず、もちろん神道を信じています。なんにせよ、神道では人間は自然と繋がっていて、自然は完璧であったためしがありません。そして神道では、万物すべてが神様なのです。日本では、神道には八百万の神様がいるとされていて、これがPRPと関連しています。
また、神道からちょっと離れて、単純に今日の世界を見れば、情報やコンテンツが溢れかえっています。雑音が多すぎます。そこで何かが「完璧すぎる」としたらどうでしょうか?完璧すぎるものは「見えない」かもしれません。単純に目にとまらないのです。あなたの関心を捉えないのです。これがPRP―完璧を完璧に否定する―が、今日のクリエイティブやコミュニケーションの世界で重要な役割を果たす理由なのです。
意図的に不完全さを加える
では、日本のPRPの例をいくつか見ていきましょう。日本の女子高校生ですね。彼女たちは、制服の細かい部分にそれとなく変化を加えています。彼女たちは自分たち独自のやり方で、完璧さを否定したいのです。
また、PRPは日本のポップカルチャーや「ゆるキャラ」(私たちはそう呼んでいますが、意図的に不完全さを加えてデザインされたローカルキャラクター)などの、「カワイイ文化」に活かされています。
「くまモン」を見たことはありますか?この赤いほっぺたの黒い熊は、「くまモンのほっぺを探せ」キャンペーンで業界アワードをいくつも獲っています。くまモンがカンヌで最も有名なゆるキャラになるのではないでしょうか。
それから「絵文字」――あるいはエモーティコン――は、まさに世界を変えています。
コミュニケーションのあり方から変えようとしているのです。これら絵文字も、PRPコンセプトで意図的にユルくデザインされています。
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