「スラダン酷似ビラ」自民系候補が超絶マズい理由 「著作権法に抵触する可能性」以外の問題点も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

(2)政治家なら「政策」で勝負すべき

そもそも、人気コンテンツに「タダ乗り」「フリーライド」している印象を与えてしまうような広報活動が、選挙において有利になると思えない。

政治家は「イメージ商売」の側面が強いが、見た目だけ華やかにするのではなく、本来は政策で勝負すべきだろう。どれだけ魅力的な政策や公約を掲げていても、その表紙にオリジナリティーがなければ、「この政治家は、他人の手柄でも『横取り』するのではないか」 とのイメージを与えてしまう。

版権者の許諾を得ずに、人気キャラを「政治利用」したのではと疑われたケースは、これが初めてではない。たとえば2023年の統一地方選に向けては、とある政党の街頭演説会で「アンパンマンの着ぐるみ」が応援に訪れた。

同党所属の市議が、この着ぐるみと踊る様子などをSNS投稿したことで問題視され、アンパンマンの権利者側が各社取材に「個別政党や政治活動への使用許諾をしていない」と答えたことから炎上状態に。この際、同党側は謝罪しつつも、あくまで「支援者が着てきた」との主張を保った。

元ネタにも政治的な色が付きかねない

(3)パロディーがすべると、本家もすべる

とはいえ、パロディーそのものを否定したいわけではない。今回のケースでも、それなりの独自性やユーモア、その作品である必要性(たとえば候補者が元プロバスケ選手など)があれば、まだ擁護の余地があったかもしれない。しかし筆者は、今回そのどちらも感じず、申し訳ないが、ただ単に「すべった」だけの印象を覚えた。

街頭インタビューや宴会の余興で、芸人のギャグを一般人が言い放ったときの、あの微妙な空気を思い出してほしい。仮に「元ネタへのリスペクト」があろうとも、すべってしまっては、顔に泥を塗ることになってしまう。とくに公職候補(予定)者によるパロディーは、元ネタにも政治的な色が付きかねないことから、扱うとしても慎重になるべきだ。

「アンパンマンの着ぐるみ」に近いケースとして、同じく2023年の統一地方選を前にしたタイミングで、大塚食品の「ボンカレー」のパッケージをパロディー化して候補者をねぎらう画像が、特定政党の支持者を中心に出回った。こちらも同様に問題視され、最終的には、大塚食品が一切の関与を否定するコメントを出すまでに発展している。

次ページ政治家特有の思考プロセス
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事