高齢者を食い物にする「外貨建て保険」に潜むワナ 販売手数料稼ぎ狙った回転売買が銀行で横行
なぜ、そのような顧客を軽視した販売をするのだろうか。理由は大きく2つある。1つ目は、販売手数料稼ぎだ。
銀行が保険代理店として一時払いの外貨建て保険を販売すると、商品を供給する保険会社から契約初年度に、保険料の5〜7%程度の手数料を受け取れる。
契約2年度目以降も継続手数料を受け取れるが、それは保険料の0.1〜0.2%程度と極端に低くなる商品がほとんどだ。解約と契約を繰り返させることで、銀行が多くの初年度手数料を稼げるからくりになっている。
2つ目は、行員の業績評価。
銀行によっては、行員が外貨建て保険を販売したとき、円建ての保険と比べて3倍前後の評価をつけている。それゆえ、顧客の意向をいったん脇に置き、行員が目の色を変えて勧めてくるというわけだ。
また、同一商品を再契約させるのにも意味がある。もし、ほかの外貨建て商品を顧客に勧める場合は、一から複数商品の比較や概要、リスクの説明が必要になる。だが、一度契約したことのある商品ならば、そうした説明を一部省略できる。要するに手っ取り早く販売できるわけで、同一商品を多く再契約させられれば行員の効率は高まる。
金融庁が注意喚起
こうした銀行による外貨建て保険の「回転売買」が今、大きな問題となっている。
金融庁が保険会社8社、大手銀行など8行、地銀13行を対象に調査したところ、目標到達型(ターゲット型)を中心として、外貨建て一時払い保険の実に約6割が、4年という短期間で解約されているという実態が明らかになった。
先述したように、あくまで保険商品であるため、長期契約が前提のはず。にもかかわらず短期間で半数以上が解約になっているというのは、異常と言うほかない。
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