「ポジティブ離婚」は、なぜ増えているのか 今どき夫婦は「きれいに別れたい」

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しかし離婚という重い決断。終わりは明るくても、そこに至るまでの理由は、決して軽々しいものではない。

「驚かれるかもしれませんが、40代の既婚女性が20代の独身男性と恋愛関係になり、離婚して人生をリセットしたいという相談が本当に増えているんです」と打ち明けるのは、『幸せになる離活』著者で「離婚110番」を主宰する離婚カウンセラーの澁川良幸さん。澁川さんの下には年間1800件前後もの離婚相談が寄せられる。

パート先などで新しい出会い

出会いはパート先やオンラインゲームやSNS。「世間で美魔女ともてはやされるように、自分に自信のある40代女性は多い。『自分もまだまだじゃない?』と思って恋愛にのめり込み、人生をリセットしたいと望まれる。お子さんが多感な時期の場合もあるので、なるべくならそういう流れにならない方がいいのですが……」と懸念する。

近年の離婚相談は、こうした浮気問題のほかに、DV、実家問題などさまざまな理由が絡み合い「年々複雑化している」という。芸能人の影響で精神的な暴力と言われるモラルハラスメントに関する相談も増え、これまで声を上げられなかった人たちが積極的に“離活”し始めている。

そんな中、「最後は思い出を壊さないできれいな別れ方をしたい」と円満な“終わり”を考える相談者も出始めたのは、自然な流れだといえるのかもしれない。

「離婚にはいろいろな理由がありますが、最終的には明るく前向きに、とポジティブに離婚を考える人もいる。円満離婚があるということを知って勇気を持ってもらいたい」と澁川さん。

冒頭の離婚式に参加した男性はこう語った。

「離婚も結婚とはまったく違う『新しい出発』だと思います。法に触れるようなことをしたわけではないので、逃げるようにひっそりと離婚するよりも、離婚式を通じて堂々と離婚を宣言することができて、前を見て生きていく勇気が湧きました」

寺井さんが手掛ける離婚式が人気を集めている理由は、“仲良し”“ポジティブ”離婚現象の現れ。「周囲の理解を得やすくなった」世の中の風潮がそういったトレンドを後押ししているのだろう。「バツイチがモテる」とも言われる今の時代。「離婚」という選択が、新しい価値を持ち始めている。

大楽 眞衣子 生活ジャーナリスト

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だいらく まいこ

横浜市出身、静岡県在住。大学卒業後、全国紙の記者を経てフリーのライター、生活ジャーナリストに。「主婦」という生活者の経験と目線、「記者」としての取材力を融合させた社会問題、生活ネタを複数のWEB媒体等で執筆中。得意分野は社会問題、女性の生き方、子育て、PTA問題、地方、医療など生活にかかわること全般。男の子3人の母。

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