大震災後の国づくりは道州制導入を軸に進めよ


 日本経団連の御手洗冨士夫名誉会長は、「震災復興へ向けて東北地方に道州制を先行的に導入せよ」と訴えている。本部を東北に置いた道州政府の下、大胆な規制緩和と税制対応などを推進すべきだとしている。前出の江口氏も東北の復興特区を「東北州」に格上げすれば、道州制のモデルケースになると指摘する。

被災した市町村を再建する場合、新たな街づくりプランの権限を地元に与える。国の復興事業についても、たとえば復興庁を仙台に置き、岩手、宮城、福島が道州制特区として主体的に取り組めるようにし、国は大きな枠組み作りにだけ関与するようにするべきだろう。

中央集権から地域主権へ

今回の大震災で、政治の無能、霞が関の機能不全など、明治以来の中央集権体制のひずみが一気に顕在化した。「第3の敗戦」から始める新しい国づくりの出発点は、中央集権体制の打破、そして地域主権国家の確立になくてはならない。その実現へ向けた新たな枠組みが道州制といえよう。

まずは、震災復興事業を地域主導で進めていくことができるか。県単位の対応ではなく、被災地・東北全体の特性を生かした新たな街づくりが打ち出せるか。国民はその進捗を見ながら、将来の道州制移行の是非を議論していくことになろう。

道州制導入への最大の抵抗勢力は、官僚であり政治家である。道州制は行政改革でもあり、役人の既得権に大きく踏み込むだけでなく、国家公務員や都道府県職員の大幅削減につながる。また、選挙制度にも大きな影響を与える。

すなわち、道州制導入は「第3の国づくり」ともいえる大変革であり、強力な政治家のリーダーシップ抜きには実現は不可能である。

(シニアライター:野津 滋 週刊東洋経済2011年8月27日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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