7月に日本株のサマーラリーが来るかもしれない 「買い方」vs.「売り方」の攻防戦はしばらく続く

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しかも、国は新NISA(少額投資非課税制度)で税の優遇をし、市場へのバックアップをしている。投資家を優遇するこの市場環境は過去に例がないほどだ。投資家はこのことをしっかり自覚すべきだし、証券関係者も、その相場環境をもっと投資家に訴えるべきだ。

ここまで読んで、ツッコミを入れたくなった読者もおいでだろう。「では、なぜ好環境の中で4月、5月、そして6月もレンジ(一定範囲)内の攻防戦が続いているのか」と。その理由は明白だ。1~3月の日本株が短期間で上がりすぎたためだ。

筆者の2024年末の日経平均の高値予想の上値メドは4万2000円だったが、上述のように3月22日には4万0888円(ザラバは4万1087円)をつけたわけだから、さすがにこの超スピード上昇までは予想ができなかった。

しかも、3月はこの前日の21日にアメリカでもダウ30種平均をはじめ主要3指数がともに史上最高値を更新していた。外国人投資家の強力な日本株見直し買いもあって、日経平均の終値での4万円台は3月29日まで続いた。

逆に言えば、このときの日本株の見直しに対する早すぎた織り込みの咎(とが)めが、今もジワジワと影響して続いているわけだ。

7月末から「サマーラリー」の可能性

だがこの咎めも、3月期本決算企業が第1四半期(4~6月期)決算を集中して発表する7月末から8月序盤で解消するとみている。今のところ、2024年度の企業の業績予想は、経常利益、純利益とも小幅減益だが、その大半は1ドル=140円台前半の為替レートの前提で作られている。よほどの円高がない限り、今後増益に修正されるだろう。

日米の金融政策会合を前に、ECB(欧州中央銀行)が4年9カ月ぶりに利下げした。仮にアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が今後追随するにしても、今は「程よく悪い?」同国経済を考えると、今後の利下げスピードは極めて遅いと考える。

日本も現状の経済環境を考えると、利上げがあったとしてもスピードは遅いはずだ。従ってドル安円高になるスピードも遅くなり、企業業績の上方修正によって、サマーラリー(夏場の株高)はありうると考える。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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