7月に日本株のサマーラリーが来るかもしれない 「買い方」vs.「売り方」の攻防戦はしばらく続く

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そのカギを握るのが、今週に開催される日米金融当局の政策決定会合(アメリカは11~12日、日本13~14日)だが、日米ともに当局の政策には過渡的な曖昧さが漂う。

7日に発表されたアメリカの5月の雇用統計非農業部門の就業者数は前月比27万2000人増と、予想外に大きな数字だった。一方で、3月は31万5000人から31万人に、4月は17万5000人から16万5000人へと下方修正されている。

また、平均時給も5月は前月比+0.4%と予想の+0.3%を上回り、前年同月比でも+4.1%と4月の+3.9%を上回った。だが、失業率を見ると、2022年1月以来となる+4.0%となり、4月の+3.9%を上回った。何かちぐはぐな雇用環境の数字である。

一方、国内でも日本銀行の金融政策の重要な要素である消費支出(7日発表)が実質で前年同月比1.5%増と、実に14カ月ぶりにプラスに転じた。だが、「プラス定着」は物価と賃上げの動向次第とされ、曖昧な評価となっている。

それだけに、日米とも曖昧な金融政策が継続することは、株式市場にとっては適温相場となり、アメリカでは先週5日のS&P500種指数やナスダック総合指数の史上最高値更新につながったのではないか。この適温状態は当分継続するとみている。

過去に例を見ない日本の「投資家優遇相場」

東京証券取引所が主導する改革を評価する声も多い。昨年からは本格的に上場企業に「株価対策」を促した結果、累進配当政策(業績の良し悪しを問わず、配当支払いを増配か維持に限定し、減配はしないという株主還元策)の採用企業が続出している。その強力な具体策として配当原資を当期利益ではなく、自己資本に変えた企業も多い。「自己資本配当率(DOE)」の採用だ。

企業は、平成バブルの崩壊後に辛酸をなめた経験から、利益の社外流失をできるだけ抑え、自己資本の拡充に努めてきた。30年間蓄積されたそのエネルギーは大きく、この自己資本の逆流こそが、史上最高値を更新した日経平均の原資と考える。

単年度の利益の配当性向をもとに安定配当を誇って来た企業も、この株主資本利益率を採用することによって、様変わりの増配幅で対応している。

代表的な例が地味な建設業界だ。大林組の配当は2022年3月期まで4期連続32円が続いたが、2023年3月期に42円となり、2024年3月期は一気に75円(2025年3月期予想は80円)といった具合だ。このような例が増えており、今後もDOEを配当基準として採用する企業が続出するとしたら、少なくとも弱気になるところではない。

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