日本株復活のカギは円安でなく円高かもしれない MSCIでの日本株比率は1995年の5分の1まで激減

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日経平均などの変動については、直接的にはパッシブ運用者(ベンチマークに連動した運用成果を目指すファンドなど)によって影響を受けるとされる。

だが、実は「アクティブ運用からの売り」も大きな影響力を持つのだ。アクティブ運用をするファンドやアナリストも、MSCIの定期見直しを警戒している。

こうした傾向は、MSCIインデックスから除外される銘柄に、海外のヘッジファンドなどによる売りが入り、株価が大幅下落したことが2021年に起こり、それがトラウマとしてあるためだ。

日本株上昇に必要な「MSCIでの比率上昇」と「円高」

前出のように、グローバルな運用者は、MSCIをベンチマークとしていることが多い。そのため、MSCI見直しで除外された銘柄は、自らの調査対象から外れ、売却することが多いのも事実だ。

わかりやすく言うと、レストランのメニューから消えることと同じだ。世界のアクティブファンド運用者は、運用規模も大きいので、メニュー(調査対象銘柄)を世界の大型株と中型株に限ることが多い。世界の小型株はメニューにもないので、買わないのだ。

最近でこそ「外国人投資家の日本株買いが復活した」と言われているが、日本株が本格的に上昇するには、MSCI ACWI指数全体に対する日本株比率が今後増加することが必要不可欠だ。結局、MSCI ACWI指数に採用されている他の銘柄に対して、日本企業が資本コストや株価をさらに意識した経営をすることによって、日本株が他の世界株よりも大きくアウトパフォームすることが重要だ。

もう1つ、為替も重要な要素だ。巷間、円安は日本株にプラスとされるが、実は円高にならないとダメなのだ。円安だと、日本株が「世界のレストランのメニュー」から消えてしまうのだ。なぜならMSCI ACWI指数の日本株の評価はドルベースだからだ。日本株が世界で復活するカギは「円高復活」かもしれない。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事