精神科医が「自分が病みそうになった時」の対処法 発した言葉が意図せず患者を傷つけることも…
言葉がメスになる精神科医
精神科医にとっての言葉は、外科医にとってのメスで、精神療法*は手術に相当するというのは、精神科の業界では非常によく用いられる喩え話である。初心の精神科医に対する戒めとして指導医が使ったり、何かいいことを言ってやろうみたいな精神科医のツイートなどでもしばしば散見される。
しかし、あまりにあるあるネタのようになってしまったせいか、最初に喩えられたときと比べて段々とそのインパクトは縮小していて、ほぼ形骸化しているというか、言葉が侵襲性をもっていて患者を致命的に傷つけうるということを真剣に現場で考え続けている人は、私も含めてそこまで多くないような気もする。
なにせ言葉である。ふつうの感覚からすれば、人の皮膚や臓器を切ることに比べれば軽い。軽すぎるといっていい。初めての患者さんと会う瞬間などは当然言葉にも細心の注意を払っているわけだが、慣れた患者さんを診察していたり、疲れていたりすると発話も自動化してしまうというか、気づいたらふつうの感覚でべらべらと喋ってしまいがちである。


















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