部長、どうか私を管理職にしないでください。 出世したくない会社員が激増する3つの理由

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2022年10月に実施された調査(ビズヒッツ)で、管理職になりたくない理由として最も多く挙げられたのが「責任が重い」というもの。男女とも傾向は似ている。「仕事・残業が増える」「割に合わないと感じる」「残業代が出ない」「人間関係で悩みそう」といった理由が上位に並んだ。

つまり、まとめると「割に合わない」ということだ。出世すると負担が増える。負担が増える割には給料も増えないし、やりがいも減る。それなら今のままのほうがいい、という考え方だ。昇進を打診されたら「断る」と答えた人は60%以上に達し、「条件次第では引き受ける」の18.8%を大きく上回っている。衝撃的としか言いようがない。

若手社員、新入社員においてはさらに顕著だ。公益財団法人日本生産性本部の「新入社員働くことの意識調査結果」では、新入社員の多くが「役職に就きたくない」と回答した。ただ若者に「割に合わない」という意識は少ない。それよりも「会社に縛られたくない」という思いが強いようだ。「専門技術を磨きたい」「組織に縛られず人脈を広げたい」といったポジティブな傾向も見られる。出世すると会社の意向に従う必要があり、自分のキャリア形成においてマイナスと捉える人が多いのかもしれない。

出世したくない3つの「本当の理由」

前述したとおり「割に合わない」ことが、出世を断る大きな理由のようだ。それにしても、なぜそのように「割に合わない」と受け止めてしまうのだろうか。多くの人と意見交換してきて、私は次の3つが「本当の理由」だと考えている。

(1)管理者の役割がよくわからない
(2)若手を育てるのに苦労する
(3)不確実性の高い時代に目標達成できない

1つひとつ解説していこう。

(1)管理者の役割がよくわからない

そもそも管理者(以下マネジャーで統一)の役割についての理解が不足していることが一番の原因だと私は考えている。多くの企業では、マネジャーの定義が曖昧だ。具体的な職務内容が明確にされていないことが多い。私が「マネジャー研修」を通じて、

「マネジメントとは何ですか?」

と質問すると、さまざまな答えが返ってくる。

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