ジム・ロジャーズ「世界恐慌への懸念は消えない」 再びトランプ大統領になったらどうなるのか
「しかし彼は、私たちがしばらくの間、行かなかったような新しい方向へと、アメリカや世界を巻き込むでしょう。(駆け引きとして使っている言葉かもしれませんが)NATO(北大西洋条約機構)からも脱退するかもしれません。彼が言うことは、良いことかもしれないし、悪いことかもしれません。過去数十年間、従来のアメリカがリードしてきた路線とは、世界はまったく違う方向に進むでしょう」
再び世界恐慌が来たらどうなるのか
「また、彼が関税をかけてきた場合、それは多くの人々にとってマイナスになります。多くの経済問題は、関税率の上昇や保護主義によって引き起こされてきました。実際、20世紀の大恐慌の原因のひとつは関税でした。アメリカは特にそうでしたが、他の国もそうでした。行きすぎた保護主義が世界恐慌を引き起こしたのです。もしまた同じようなことが起これば、アメリカの株式市場はもう手遅れになってしまうでしょう」
「世界中が保護主義に走れば、大きな問題を抱えることになります。誰もが大きな問題を抱えることになるでしょう。保護されている人々は、しばらくの間、経済が活性化したように見え、気分が良くなるかもしれません。しかし、それ以外の人たちは幸せになれません」。
インフレ、ブロック経済、戦争など、今後の世界は不安定な要因がたくさんあります。また、インフレが選挙の論点にもなっています。そんな中、円安、金価格の高騰など大きな市場の動きもあります。一方で、ロジャーズ氏は世界大恐慌などの大きなクラッシュが来ても、資産を築くことができる人もいると言います。
「もちろん大恐慌が訪れた1930年代には成功した人もいれば、破滅した人もいます。ただ、成功した人も、その後破滅したケースも少なくありません。ですから、常に気を引き締めていなければいけません」。
「たとえば、当時、フランスに住んでいたある人が『ヨーロッパは破滅に向かっている』と考え、1938年にソロモン諸島にあるガダルカナル島に移住しました。彼は確かにヨーロッパの世界大戦を避けることができました。しかしその後、ガダルカナル島は太平洋戦争の大激戦地となり、多くの人が命を落としました。その人も同じです。たとえ一つの問題を回避できたといっても、それで安全ではありません。常に破滅と隣り合わせになる可能性があります」
つまり、国が衰退しているので「移住をしたら大丈夫」というわけではなく、常に状況を把握し、気を引き締めて変化に備え、新たな機会をうかがわなければならないということです。
ロジャーズ氏もワタミの渡邉美樹会長も、自分の人生や経験からのみならず、歴史から学ぶというスタイルでした。先人から学ぶことによって、自分が経験をしていないインフレ、戦争時代などの生き抜き方や準備の仕方なども学ぶことができます。ぜひ、答えを学ぶのではなく、考え方を学んでいただければと思います。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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