サントリー新浪社長、「ビームのボスは僕だ」 蒸留酒ビーム社買収から1年、まだ道なかば

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――ビームサントリーを具体的にはどう伸ばしていくのか。

ジムビーム(撮影:鈴木紳平)

ブランド投資が過去は十分ではなかった。投資を強化すればもっともっと大きくなる可能性はある。あとは今後展開拡大したい国では、そこで受け入れられやすい商品を選んで攻めていく。

メキシコではテキーラから入ってバーボンをその後投入するという手もある。インドはまだこれからだが、スコッチの「ティーチャーズ」をまず浸透させてからバーボン「ジムビーム」を売っていくこともできる。我々はバーボンの一本足打法ではない。幅広い商品を持っていることが、いろいろな国を攻める際の利点となっている。

ただ、ビームが持っていたブランドとサントリーが持っていたブランドで、いくつかカテゴリーに重複がある。そこはどちらかに集中すべきなので、売却していく。一方で、われわれが持っていなければいけないカテゴリーがあれば、ブランド単位の買収も検討する。必要ならぜひ親会社(HD)を説得してくれ、とビームサントリーには言っている。成長のためのお金を使わなければ、われわれは絶対に伸びない。

三菱商事などから人材を招きたい

――さらなる企業買収に備え、投資案件の審査を行う部署を新設した。

新浪剛史(にいなみ たけし)1959年生まれ。81年三菱商事入社。2002年ローソン社長就任。14年に会長へ退いたあと、同年8月にサントリーHDへ。経済財政諮問会議議員も務める(撮影:尾形文繁)

買収自体はCFO(最高財務責任者)直下でやる。事業審査管理部は本当にその案件を買って大丈夫か、買収額は適正か、さらに買収後の様子を見て問題点を指摘する。そのために外資系証券企業など外から人を呼んできた。事業投資の経験がある商社出身者も今後登用してきたい。前にいた会社(三菱商事)も優秀な人がいっぱいいる。そういう人たちを入れて人材を育てたい。純血だとグローバル企業としては間違いなくうまくいかない。

――グローバル展開に向け、海外人材を登用する企業が増えている。サントリーも積極化するのか。

この4月、ビームサントリーから経営陣をHDに一人引っこ抜いた。今後もこうしたことは続ける。日本人が経営の中心を担っている必要性は全然ない。逆に、日本人でもチャレンジしたい人がいれば、どんどん(米国にある)ビームサントリーへ出そうと思っている。むこうでは30歳でも部長になれるが、日本でなるには結構時間がかかる。成長して帰ってきて、役員になってもらってもいい。

難しいのは、文化の差。日本のサントリーの人事評価は長期志向。でもむこうは短期的評価で実力主義。その違いをどう合わせるか。日本企業はみな苦労しているんじゃないか。

「週刊東洋経済」2015年7月11日号<6日発売>「この人に聞く」に加筆)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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