ブラジルで『AKIRA』はやらせた日系3世の挑戦 今年は『ゴジラ-1.0』や『君たちは』の配給も

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2024年3月の第96回アカデミー賞で、特撮映画『ゴジラ‐1.0』と、アニメ『君たちはどう生きるか』が“W受賞”したことは、日本映画界の快挙として報じられた。

ブラジルでも喜んだオスカーW受賞

ブラジルでこれを喜んだのが、両作品の配給を手掛けたサトウ・カンパニーだ。1988年創立の同社は、40年にわたってブラジルおよびラテンアメリカで日本の映像作品の普及に努めてきた。

佐藤氏
「ゴジラ‐1.0」のパネルを前にインタビューに応じる佐藤氏(写真:筆者撮影)

同社は『ゴジラ‐1.0』を観賞するより早く放映権を購入した。

「東宝の一大IP(Intellectual Property:知的財産)である、ゴジラの70周年記念作品というだけで価値あり!と踏んだんです。権利の条件はネット配信を含まない劇場の配給のみで、上映期日も2024年1月31日までと限られていたため、大手の配給会社はどこも敬遠したんです」と、同社社長の佐藤ネルソン氏(62)。

しかし、蓋を開ければ、2023年12月14日のブラジル公開からの2週間で、興行収入390万レアル(約1億1881万円)、鑑賞者数20万人超えと、同時期に放映されていた作品としては、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』に次ぐ成功だった。

劇場の観客動員数は、公開が2週間早かったアメリカでの口コミやレビュー動画での高評価から、上映開始後徐々に増えていったそうだ。

一方、ジブリ作品については、配給を行うのは今回が初めてだった。

「『君たちはどう生きるか』は、宮崎駿の最後の監督作品になるかもしれないということで、是が非でも手掛けたかった」

フランスの配給会社を説得して契約し、『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』など、これまでにブラジルで劇場公開されたどのジブリ作品よりも多く、公開7週目となった4月10日時点で、44万7050人の動員数を数えた。

サトウ・シネマで「君たちはどう生きるのか」鑑賞券を求める人たち
サトウ・シネマで『君たちはどう生きるのか』鑑賞券を求める人たち(写真:筆者撮影)
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