対話の現場/自分と他者の人物評価、一方的決め付けの構造


 面白いことに、善人のイメージよりも、悪人のイメージのほうが形成されやすい。民衆を庇護する黄門様より、虐待する悪代官のほうが思い描きやすいのだ。

これについては、いろいろな意見があるだろう。

「その人の本質は、言動の端々に表れる」ということで、印象形成を肯定する人は少なくない。ちょっとした失言や失態から、全人格が透けて見えるというわけだ。確かに、一理ある見解である。

ただ、他者の人格を即断する人に限って、自分の人格を他者に即断されることは許さない。言葉尻だけをとらえて、一方的に決め付けられてはかなわない。誤解もいいところだ、と言うのである。他者に厳しく、自分に優しい。人間とは身勝手なものだ。悲しいものだ。

限られた情報を手掛かりに、全人格を決め付ける──誤解といえば、誤解かもしれない。本人はもちろんのこと、本人の友人・知人も「よく知らないくせに、勝手なことを言うな」と思うことだろう。

政治家の失言や暴言の場合も、必ず「本人の真実を知る(と称する)人」が登場するものだ。「彼はああいう人なんだ」「口は悪いが、腹はきれいだ」などなど。

たぶん、そのとおりなのだろう。では、「本人の真実を知る(と称する)人」の評価のみが正しく、それ以外は間違いなのだろうか?

決してそうではない。

友人・知人のことは、どうしてもひいき目に評価しがちだ。いいことをすれば「いい人なのだから当然だ」と人格に結び付けて考え、悪いことをすれば「何か理由があるに違いない」と弁護してしまう。これを「根本的要因の錯誤」という。本人を知っているだけに、かえって評価の目が曇ってしまうのだ。

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • 内田衛の日々是投資
  • 「合法薬物依存」の深い闇
  • 晩婚さんいらっしゃい!
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
省電力・広域通信“0G”の衝撃<br>IoT化の隠れた主役LPWA

低速ながら電池で数年動くほどの省電力で、基地局から10km以上もの広域通信が可能。 LPWAという通信方式は超高速の5Gとは対極で、関係者に「0G(ゼロジー)」と呼ばれています。検針やモニタリングなど静かな普及の現場を取材しました。