1年で1割退学「崩壊する都内底辺校」の教育現場 タバコ・喧嘩・妊娠で退学が日常茶飯事だった

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「タバコを吸っている人や、妊娠して退学する人などがいて……。びっくりしました。同級生が他校の生徒や、高校に通っておらずワルさをしている人たちと喧嘩をするという話を聞いたときは、本当に怖かったですね。よく覚えているのは、金髪にピアスをしているチャラついた集団が、バイクで出待ちをしていたことです。とんでもないところに来てしまったと思いました」

270人いた同級生、1年で20人が退学

長瀬さんの学校は、「どのクラスにも必ず退学者がいる」ほど荒れていたようで、入学して1年で270人いた同級生のうち、20人が退学したそうです。

「退学する人たちは、個々の事情があるので、具体的な理由まではわかりません。ただ、気づいたら不登校になっていて、そのまま退学していたパターンが多かったです。おそらく、学校の勉強についていけなかった子たちが多かったのではないかと思います」

「学校に行くのが怖かった」と語る彼は、入学してすぐ、自身の選択と、かつての怠惰な日々への後悔の念に苛まれることになりました。

「ここに居続けるとまずい」と思った彼は、できる範囲内での勉強を始めようと決意します。

「高校生活では、合わないと思う子が多く、価値観が合う中学のときの友達とつるむことが多くなりました。その子たちは育ちのいい子たちで、みんな偏差値60以上の高校に通っていました。

私は学校の中でよくないことが起こっても『これが普通なんだ』と錯覚してしまう部分があったのですが、中学の友達にその話をしたら、『普通じゃないよ』と言ってくれたことで、自分の状況に危機感を抱けたのが、とても大きかったと思います」

この環境から脱出するために、勉強を始めた長瀬さん。手始めに学校の授業をしっかり聞いてみました。偏差値40の教育困難校の授業といえども、世間的なイメージとは違い、授業のレベルは極端に低くはなかったそうです。

「受験するという観点では、物足りないですが、アルファベットや掛け算・割り算といった初歩中の初歩のレベルまで遡っているわけではありませんでした。たとえば英語は中学英文法など、中学レベルの復習がメインで、日本史では高校の教科書を扱ってはいたものの、簡単な問題の空欄を埋めるといった、受験レベルというよりも、一般常識レベルのことを学んでいました」

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