松井道夫・松井証券社長--従来とは異なる競争上の軸を提案し、競争環境の転換を図る

松井道夫・松井証券社長--従来とは異なる競争上の軸を提案し、競争環境の転換を図る

安価な手数料を武器に、個人の株式売買の7割以上のシェアを獲得したインターネット専業証券。しかし、2007年度以降は株式の売買代金が伸び悩み、収益環境は厳しい状況が続く。停滞する市場環境をどう打破するか。ネット証券大手4社のトップに聞いた。

--現在の経営環境はどうか。
 
 市場環境が底を打つのがいつかは一概には言えない。現在、一般の個人投資家の多くは、損を抱えたままで身動きが取れない状況だ。
 
 一方、短期で売買を行うデイトレーダーと呼ばれる投資家層の多くは、大儲けもしていなければ、大損もしていない。デイトレーダーは価格のボラティリティ(変動幅)が大きくなるほど取引を活性化させるが、直近では株価のボラティリティ(変動幅)が低下しているため、取引量が減少している。
 
 また、取引を円滑に行うためには流動性が不可欠だが、市場の流動性の6割を供給しているのが外国人投資家であり、この層が何かのきっかけで日本株を見限るという状況になったら、さらに売買が細る可能性もある。

--業界のシェア争いは何を軸に行われているか。

ここ数年間、ずっと手数料競争が起こってきた。他社と差別化する要因が手数料だったが、手数料競争も行き着くところまできている。今は各社の差別化要因がなくなっており、ネット証券のビジネスモデルそのものがコモディティ化している。

それでもシェア競争は続いており、各社の業績には過当競争がマイナスに働いている。これまでのネット証券のビジネスでは、売買代金が増えるほど利益が増える「収穫逓増の法則」が成り立った。
 
 しかし、今は株式に関する収益だけではコストが賄いきれない会社もあり、シェアを伸ばすほど損失が膨らむ「損失逓増の法則」が成り立つ状況だ。

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