銀座の老舗文具店が魅せた「111年目」の革新 ビジネスパーソンも思わずハマる

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色や目的で選べるほか、ペーパーコンシェルジュに相談もできる。

筆者が個人的に気に入っているフロアは、7階の「FINE PAPER」。紙の専門商社の竹尾と伊東屋がコラボレーションした紙の専門店です。出版という仕事柄、紙見本や色見本をよく見ている筆者ですが、すべて異なる色合いの紙見本が、壁一面に美しいグラデーションを描くさまには圧倒されます。フラットに並べることで色合いだけでなく素材感の違いも分かりやすく、紙の魅力が十分に感じられる売り場となっています。

自分のスタイルで選ぶ「COLOR CHART」

文房具専門店ならではの、プライベートブランドが多いのも伊東屋の魅力のひとつ。便箋や原稿用紙など使いやすさを追求した「伊東屋オリジナル」、飽きのこないデザインと機能性を重視した「ヘルベチカ」、都会的なデザインが光る「トップドロワー」など7つのブランドを持っています。

その中でも注目したいブランドが「COLOR CHART」。ファッションで好きなカラーを選ぶように、ビジネスシーンで持つ小物も好きなカラーでコーディネートしたいという思いを形にしたシリーズです。

カラーは「マゼンタピンク」「サンセットオレンジ」「ペアグリーン」「スカイブルー」「ネイビーブルー」「アースブラウン」の6色。「原色はちょっと無理だけど、ただの黒やありがちなパステルじゃつまらない」というニーズにぴったりの絶妙な色味なのです。

「COLOR CHART」シリーズは色だけではなく、素材や加工方法にもこだわっており、たとえば革製品では傷がつきにくく、色が変化しにくいことに重点をおき、素材や染料などを選定しています。

名刺入れやパスケースなどをそろえる「レザーシリーズ」、持ち運ぶことを最優先で考えた人気の「トラベラーズシリーズ」のほか、ノートや筆記具もそろいます。最寄りでは有楽町駅前の阪急百貨店メンズ館など、支店でも取り扱っていますが、本店のほうが品ぞろえは豊富。ほかのブランドとも比較しながら、自分好みのカラーを探したくなります。

これまでの伊東屋もキッチン用品やトラベルグッズ、かわいい輸入雑貨など文房具とは直接関係ない商品を「豊かなライフスタイルの提案」という形で取り扱っていましたが、テーマ別のフロア構成、館内にドリンクコーナーやカフェレストランを設けるなど、新本店での提案はさらに進化したように感じます。

テーマ別の売り場は、目的買い中心の男性にとって最初は少しとっつきにくいかもしれませんが、「DESK」や「MEETING」など切り口がビジネスパーソン向きなだけに、はまってしまえばかなり楽しめるはずです。

オフィスでも家庭でも、お気に入りのものがあると、ちょっとやる気が上がるもの。クリエイティブなひらめきを助ける相棒をぜひ、探してみてください。

石山 真紀 フリーライター・売り場研究家

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いしやま まき / Ishiyama Maki

法政大学卒業後、食品企業で販売の現場に携わる。その後、流通コンサルタント企業へ転身。結婚による退職後、物流業界新聞社、流通業界雑誌社を経て、2008年よりフリー。現在は流通専門誌や弦楽器専門誌などでも取材・執筆・編集に携わるほか、売り場づくりやマーチャンダイジングの研究も行っている。
 

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