西武が売却?「赤プリ跡地の施設」失敗の本質理由 多様性を求めると、商業施設はパッとしなくなる

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この点でいうと、4月に誕生した「ハラカド」は興味深い施設の作り方をしている。

ハラカドの外観の写真
原宿にできた「ハラカド」。昨今の商業施設のトレンドに逆行するような、「余裕」「余白」のある驚きの施設のようです(筆者撮影)

ここの4階は、「ハラッパ」というパブリックスペースになっていて、テナントがほぼ何もなく、ただただ広い場所とベンチなどの座る場所がある。また、5階以上のレストランフロアでも座れる場所が目立ち、屋上広場に至っては電源が付いたテーブルさえある。

「若者の誘致」を真剣に考えているハラカド

これが何を意味するか。「若者の誘致」だ。

私は最近、特に若年層を中心として、彼らが都市に求めることをインタビューしたりしているが、その中でもよく聞くのが「無料でいられる場所がない」という声だ。特に都心になればなるほど、消費を迫られているような気がしてしまうという人も多い。

ハラカドの屋上の写真
ハラカドの屋上の写真
原宿に4月にオープンした「ハラカド」。多くのイスがあり、とくに屋上は若者が「だらだら」過ごせる場所になっている(筆者撮影)
東京ガーデンテラス紀尾井町の座れる場所
東京ガーデンテラス紀尾井町にも座れるスペースはある。が、ハラカドのような、意図は感じられない(筆者撮影)

若年層の場合、そこまでたくさんのお金を持っていないから、無料で入れる場所は、大きな価値を持つ。「ハラカド」は若い世代を中心として、新たなカルチャーの拠点を作り出そうという意識の強い施設だが、まさにこの施設のあり方は、若年層のニーズを満たしているといえる。

ちなみに、そうやって若年層が多く訪れれば、結果的に施設全体の集客の向上にもつながるから、一石二鳥でもある。

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