西武が売却?「赤プリ跡地の施設」失敗の本質理由 多様性を求めると、商業施設はパッとしなくなる
このニュースはさまざまな報道機関に取り上げられたが、共同通信の「西武、赤プリ跡地の施設売却へ 池袋本社ビル含め全物件で検討」の中では、「保有型から回転型の不動産ビジネスに転換する。資金はリゾートや都心の再開発に回す」と書かれている。
東京ガーデンテラス紀尾井町、と聞いてピンと来る人がいるだろうか。「あー、あそこね」となる人は少ないんじゃないか。この記事タイトルで「赤プリ(赤坂プリンスホテル)跡地の施設」と表記されていることが、それを物語っている。つまり、記事を読む読者は、この施設をそこまで知らないと思われている。
2016年竣工。西武グループが保有する複合商業ビルで、賃貸物件が入るビルと、商業施設・ホテル・レストランが入るビルの2棟から成る。敷地内には巨大な庭園もあり、ホームページを見れば「世代も国境も越えて人が集う、四季が移ろう自然豊かな庭園」という記載。全体のコンセプトは「品と、格と、未来と」。
ちょっとおじけづいてしまうコンセプトだが、それもそのはず。ここに元々あった赤坂プリンスホテルは、名門中の名門。通称「赤プリ」。バブルを象徴するホテルだった。
東京ガーデンテラス紀尾井町の「パッとしなさ」
1983年、日本の景気が上向いていた真っ只中に新館が開業し、クリスマスには若いカップルでいっぱい。伝説によれば、その夜はカップルの営みのせいで震度3~5クラスの揺れを観測したらしい。
2011年、老朽化なども相まって取り壊しが決定し、その跡地が東京ガーデンテラス紀尾井町になったというわけだ。しかし、赤プリの印象が強すぎるのか、東京ガーデンテラス紀尾井町、なんだかパッとしない。今回のニュースはそれを証明した。商業施設としてはうまくいっていないのだ。
この売却については、「資産の切り売りでは?」という声も聞かれる。みずほフィナンシャルグループからやってきた社長・会長が他業種の経営に向いているのか、ただ保有している資産を売り払って当座のキャッシュを手に入れているだけではないのか、と勘繰る声も多い。
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