少女の壮絶人生演じる「河合優実」に見た芯の強さ 不適切にもで話題、新作の「あんのこと」への想い
――直接ではなくても、社会に影響を与えていく力が、エンターテインメントにはあると思います。
そうですね。映画だから、ふだんは社会問題に関心がない人たちにも届けることができて、気づいてもらえることがあるかもしれません。何らかのきっかけで見てもらえれば、現実社会に持ち帰るものが必ずあると思います。
別の方向の興味から見た人が、結果的にいろいろなことを考えてくれて、映画と自分が生きる世界がつながっていると感じてくれたらうれしいです。
映画だから記憶に残ることもあります。ニュースで見て、そのときだけで終わりではない。映画で見たら忘れないのはすごいことだと思います。
エンターテインメントの無力さも感じる
――社会におけるエンターテインメントの役割をどう考えますか?
私はいろいろなエンターテインメントに感動するし、もしそれがなかったら生活が楽しくない気がします。自分がその感動を知っているから、多くの人に同じ体験をしてもらいたいと思って、この仕事をしています。
でも、正直に言うと、最近は現実に起こっていることが大きすぎて、エンターテインメントの無力さも感じています。毎年のように発生する大規模な自然災害や、数年前には想像もつかなかった、多くの人が亡くなる戦争や虐殺が世界中で実際に起きています。
そんな現実を目の前にエンターテインメントを作っていていいのかな、という気持ちが生じるタイミングが増えているんです。でも、こういうときだからこそ、こういう仕事に携わっているからできることがあるし、その力を絶対的に信じていかないといけないと思うようにしています。
――デビューから5年です。これまでの女優業をいま振り返って思うことは?
感覚としては、目の前のことに一生懸命に取り組むという意味では、あまり変わらないんですけど、主演をいただく作品が増えたりして、自分が向き合っている仕事や作品が、世の中に届けているものに対して責任がある、ということを強く感じるようになっています。
以前はそういうことを考えなかったし、楽しいから女優をやっているだけで、それが幸せでした(笑)。いまももちろん“楽しい”は消えないし、この仕事が好きなんですけど、1つひとつの作品に自分が関わっている意識がすごく変わりました。
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