ソニーがアニメ事業へ「超本気」で踏み込む胸算用 日本のアニメ業界が抱える"闇"を払拭できるか

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2024年度から2026年度までの中期経営計画で、ソニーは営業利益を年平均10%以上成長させる目標を掲げている(金融事業は除く)。成長の牽引役はゲーム、音楽、映画のエンターテインメント3事業と、半導体事業だ。

一方でM&A等の戦略投資は自己株取得も含めて累計1.8兆円を上限とし、これまでの投資で獲得したIP(知的資産)から得られる収益の回収と、株主への還元を優先する。一部で4兆円規模と報道されているアメリカの映画製作大手、パラマウント社の買収については、慎重な姿勢を示した。

映画事業の成長もアニメがカギ

経営方針説明会に登壇した十時裕樹社長は、アニメの位置づけについて「映画事業の成長ドライバーはクランチロールになる。クランチロールは(アニメの)配信プラットフォームなので、優良なコンテンツが多く登場し、ヒットすることが重要」と指摘した。

アニメ制作ソフトウェアの提供にも着手すると、十時裕樹社長は意気込む(撮影:尾形文繁)

そのうえで「クリエーターの支援は業界全体のために行うことだが、巡り巡ってわれわれの事業の成功にもつながる」と業績貢献への期待も隠さなかった。

エンターテインメント企業としての持続的な成長に向け、アニメ業界構造の変革に自ら乗り出したソニー。今後の取り組みが注目を集めそうだ。

梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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