ソニーがアニメ事業へ「超本気」で踏み込む胸算用 日本のアニメ業界が抱える"闇"を払拭できるか
ただ、今回は自社で抱えるアニメ関連ビジネスへの投資だけではなく、アニメ産業全体の育成にグループとして取り組むと踏み込んだ。背景には、産業全体に横たわる慢性的な人手不足と、不透明な下請け構造という問題がある。
今年4月、北朝鮮が日本のアニメ制作に関わった可能性がある、というニュースが業界を駆け巡った。アメリカの北朝鮮分析サイト「38ノース」が、北朝鮮が管理していたと思われるサーバーを調べたところ、今年7月から日本で放送予定のアニメ作品の制作過程のデータが見つかったのだ。
アニメの制作過程には多くの下請け企業が関わっている。シリーズごとに組織される製作委員会から、1クール(3カ月)分の制作を担当する元請け制作会社、1話分を担当するグロス請け制作会社へと順番に作画などの作業が委託される。
最終的には1枚200円前後という低価格で中国など海外の動画会社に発注する。制作にかかる人件費と売り上げが釣り合わず、多くの制作会社が赤字に陥っているのが実態だ。
38ノースが発見した画像データには中国語の修正指示が書き込まれていた。同サイトによれば、発注元が北朝鮮の関与を認識していた形跡はないというが、上述した過程のどこかで北朝鮮へと作画作業が委託された可能性がある。
アニメ制作のソフトウェアを開発
ほかにも、アニメ制作の現場で使われているソフトウェアはイラストや漫画用に設計されたものが多く、煩雑な作業が多いという問題もある。
不明瞭な制作過程や、劣悪な制作環境といったクリエーターにとって厳しい状況が改善されなければ、日本のアニメ産業が持続的に成長していくのは不可能だ。ソニーは今年度以降に実施する制作用のソフトウェア供給や、人材育成の面で業界構造全体の変革に取り組むことになる。
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