息子を「世界一の富豪にする"実験"」の意外な効能 子供には「投資」ではなく「ビジネス」を教えよう
ガチャガチャのような小さなビジネスを通じて、子どもたちに経済活動を体験させることは、実践的で価値のある学びになる。アメリカで子どもたちがレモネードスタンドでビジネスの基本を学ぶのも同じだ。
この考えを持っていると投資との向き合い方も変わる。
「投資=お金を増やすこと」では失敗する
先ほども書いたが、いま話題の金融教育も資産形成にスポットがあたりがちで、多くの子どもが「投資=お金を増やすこと」と認識している。
そもそも、金融教育の“金融”とは資金に余裕がある人から必要としている人へお金を融通する仕組みのことだ。
投資が社会を成長させるのは、みんなの役に立つアイデアを持っている人のところへお金が流れて産業が発達するからだ。教える側でさえも「投資=お金を増やすこと」だと思っている現在の教育では、「投資される側」になろうとする発想は生まれそうにない。
投資商品を買ってくれるお客さんが育てば、銀行や証券会社は喜ぶだろう。しかし、それだけだ。
これから社会に出ていこうとする若い人たちまでもが、お金もないのに「投資する側」に回っていては、社会は成長しない。成長しなければ、投資する側にとってもリターンは望めない。
その意味でも、先ほどのガチャガチャのように、ビジネスを通じて経済の仕組みを理解することが重要になる。ビジネスを広げるために投資してもらおうという発想も生まれてくる。
「預金でお金を眠らせておくのはもったいないです。投資しましょう」
銀行などでよく聞く言葉だが、これは非常に無責任な発言だと思っている。
預かったお金を活用して融資を行うのが銀行の主な業務だ。預金者のせいでお金が「眠っている」わけではない。銀行に貸出先がないから、お金が「眠っている」のだ。
事実、都市銀行の預貸率(預金を貸出に回している割合)は過去20年でほぼ100%から約50%にまで大きく下がっている。世の中の資金需要が足りないから、投資商品を勧めて稼ごうとしている構図になっている。
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