「学校で暴れるわが子」を見た母親にかけた"言葉" 「にんじん嫌い」は子どものわがままじゃない?

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このお母さんがブチ切れてしまう気持ち、よくわかりますよ。

1日の仕事を終えて、子どもたちを迎えに行き、買い物も済ませ、休む間もなく夕ごはんの準備にとりかかり、食卓を整えて、ようやく「いただきます」。

その途端、子どもたちからせっかく準備したごはんにケチをつけられたら、そりゃあ、堪忍袋の緒も切れるでしょう。

頭ではわかっていますよね。嫌いな食べ物を無理強いできないことも、そして、好き嫌いは仕方がないということも。

わがままなのは、母親のほう?

このお母さんの気持ちを代弁するとね、たぶんこういうことなんです。

「仕事が忙しい。そして、こんなに忙しいのに手を抜かず子どものために夕食をこしらえている。栄養バランスも少しは考えて野菜だって入れている。なのに、なんで子どもたちは文句ばっかり、わがままばっかり……」

ここでちょっと冷静に考えてみましょう。

子どもの「うぇー、なんでこんなん入ってんの? 大根いやだー」は、わがままじゃないです。「嫌いなものを嫌い」って言ってるだけ。その子の素直な言葉なんです。

こういう発言を「わがまま」といったら、辞書の「わがまま」の定義のほうを変えなくちゃいけなくなります。「こんなん食べられるわけないじゃん、ハンバーガー買ってきてよ」みたいなことを言うのが、本当のわがままですよ。

逆に想像してみてください。

子どもたちが出されたものを、嫌いなものが入っているのになんにも文句を言わず、「作ってくれてありがとう」って殊勝な顔をして食べていたら、どうでしょう?

その姿見て、お母さん、本当にうれしい?

ブチ切れてしまったお母さんは、どこかでそういうことを子どもたちに期待しているんですね。「自分はこんなにがんばっているんだから、認めてよ」と。「こんなに忙しいのに、これだけのごはんを用意しているんだから」と。

子どもはそんな親の気持ちなんてお構いなしに、あれこれ言うわけです。だからお母さんは腹が立つ。

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