「敵国攻撃能力」を備えて日本は何を狙うのか 中国・海南島の中国海軍基地が第1目標だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

潜水艦は敵制海権下に容易に侵入できる。また海南島付近ではアメリカや豪州、ベトナム、台湾の潜水艦が活動している。中国は戦時に潜水艦を発見しても日本潜水艦との確証が得られるまでは攻撃はできない。

艦隊も南シナ海に入らなければそれほどの危険はない。日本列島・南西諸島・フィリピンを結ぶ第1列島線の東側は、概ね安全である。そこでは日本の陸上哨戒機や早期警戒管制機の支援も得られる。

陸上哨戒機もフィリピン西岸に沿って飛べばおそらく迎撃は受けない。飛行距離が長いので迂回は差し支えない。巡航ミサイルも海南島の南側から発射すれば防空網突破も容易となるだろう。

そのうえで攻撃対象としても軋轢を生じない。軍艦や軍港は軍隊に属しており攻撃は何らの問題を生じない。交通施設のように軍事目標だが民間人を巻き込むおそれがある目標とは異なっている。

攻撃目標としての3条件を満たす海南島

海南島攻撃は攻撃目標としての条件を満たしている。その点で敵国攻撃の対象として適当であり、それゆえに攻撃目標として選択されるのである。ただし、これは海南島攻撃が最も優れた攻撃目標であるというわけではない。

戦力分散を強要する効果ならパイプラインや鉄道橋への攻撃のほうが優れている。アメリカの立場なら両者への攻撃を重視するだろう。

しかし、日本からすれば攻撃困難である。前者は距離の問題、後者には防空網突破や攻撃規模の問題がある。

対して海南島は日本の戦力規模でも実現できる。そのために海南島が攻撃目標として適当であり攻撃力を指向する目標となるのである。

文谷 数重 軍事ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

もんたに すうちょう / Sucho Montani

1973年埼玉県生まれ。1997年3月早大卒、海自一般幹部候補生として入隊。施設幹部として総監部、施設庁、統幕、C4SC等で周辺対策、NBC防護等に従事。2012年3月早大大学院修了(修士)、同4月退職。現役当時から同人活動として海事系の評論を行う隅田金属を主催。ライターとして『軍事研究』、『丸』等に軍事、技術、歴史といった分野で活動

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
の人気記事