東京の「夜文化」は日本経済活性化のカギだ

風営法改正はビジネスチャンスをもたらすか

――今回の改正案の成立にあたって行われた審議においての警察庁担当局長の答弁では、野外のコンサートやフェスに関して、設備を設けて深夜に営業すれば許可が必要、ただし反復継続利用が前提で、年1回、数時間程度の開催であれば規制対象としない、ということでしたが……。

ライブコンサート業界のヒアリングがほとんどなされないまま法改正が進んでしまったという経緯があり、このあたりは施行までの検討課題として残っています。まさか、大型フェスの深夜時間帯を中止に追い込むような状況を作ってしまうということはあり得ないと思いますが、これから急いで検討していく必要があります。

「『ナイトクラブ』という言葉が間違っている」

改正運動の先頭に立って活動をしてきた、斎藤貴弘弁護士(撮影:manabumorooka)

――海外のナイトライフ事情で何か参考になるものはありますか?

つい先日、アムステルダムのナイトメイヤー()のMirik Milanとスカイプ会議をしたんですが、彼曰く、まずナイトクラブやナイトライフという言葉が間違っていると。「ナイトカルチャー」なのだと言ってましたね。文化的なものという意識が強いわけです。

考え方がすごく進んでいて、昼間はビジネスの世界で仕事をして役割を担って、夜はその枠から外れて、自分の好きなことができるプレイグラウンドで遊ぶ。そのプレイグラウンドから昼には生まれない文化が生まれて、それが循環して、新しいビジネスにつながっていく。

その最たるものが、ロンドン五輪の開会式と言っていました。あの煙突を作ったAirworksは、1980年代〜1990年代のアムステルダムで遊んでいた人たちです。そうやって、昼間に還元されていって、昼間も面白くなっていく。「夜」に対して非常に寛容なんですね。そういった夜と昼、文化と経済を連続したものとしてつなぎ、多様な生態系を作るという姿勢は東京の街づくりでも重要な視点だと思います。

――音楽に限らず、文化が熟していく場所として夜があるんですね。それは日本ではまだ根付いていない意識ですね。日本だと夜には性的ないかがわしさが先にあって、なかなか文化という言葉と結びつく感覚は薄いかもしれません。

深夜以降のダンス営業や遊興を一律に禁止していた従来の風営法は、そのような価値観に基づいています。ヨーロッパではオランダ以外でも、お金持ちはまだ無名のアーティストたちのいる店に積極的におカネを落とすという、ちょっとしたパトロンみたいな意識を持っている人が多く、アーティストがたむろしていたり、よいDJのいる店は文化拠点として人気の店になっていくという話を聞きます。

なので、お店も音楽やアートに対して寛容になり、サポートしていく。文化をサポートするという姿勢が、結果としてその街を魅力的なものにしていくように思います。こうしたおカネの使い方のセンス、非常にうらやましく思います。

※ナイトメイヤー (Night Mayor)……2002年にアムステルダムで発足した「夜の市長」として活動するボランティア。アムステルダム市長公認の団体で、2015年には5人目 の「夜の市長」としてMirik Milanが選出された。ナイトカルチャーは社会的、文化的、経済的側面から、土地をより画期的で活発な都市たらしめるとして、夜間のアクティビティに参 加するすべての人のための中間的な代弁者となり、クラブ運営における規制やルールをアムステルダム市長にアドバイスするなどの活動を行っている。
次ページ今までは文化の源泉にふたをしてしまっていた
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