2011~2015年の中国経済 田中修著
過度な投資依存などの問題を抱えながら量的拡大を続ける中国経済を、著者は「毎年人間ドックを欠かさない成人病患者」に見立てる。本人たちも問題点はよく把握しているし、どのように生活習慣を変えるべきかもわかっている。だが、改革を実行できずにいるため、検査のたびに数値が悪化しているというわけだ。
健診の数値に当たるのが経済統計ならば、経済運営のあり方を示す5カ年計画は、さしずめメタボ対策の方針だろうか。本書では、今年から2015年までの中国経済の方向性を指し示す第12次5カ年計画の詳細に加え、その策定プロセスまでも丁寧に解説されている。「社会主義市場経済」の下で経済政策がどのように決まっているのかを簡便に知ることができる。
著者は北京の大使館勤務以来、中国経済を定点観測してきた官庁エコノミスト。膨大な公文書や現地メディアの報道を丹念に読み込んでまとめており、資料的な価値も高い。
蒼蒼社 2310円
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