海外からも熱い視線「料理するくま」の癒やし効果 インスタフォロワー約40万人、レシピ本も人気

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しかし、仕事が多忙なパートナーは、実はあまりママさんの仕事に気づいておらず、本を出したことも知らないという。ママさんとくまくんの野望は、ハリウッドデビュー。映画化されれば、さすがのパートナーも気づいて驚きそうだ。

版元であるワン・パブリッシングの横山由佳氏は、表情豊かで躍動感たっぷりなくまの動画を見て感動し、くまくんに気づき、八方手を尽くして連絡先を見つけ出し出版にこぎつけた。

オムハヤシを作るくまくん(写真:『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』より)
くまくんが使ったオムハヤシ(写真:『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』より)

「何しろ一度見たら忘れられない作品なので、企画にしないと絶対後悔する。面白い活動をしている人には、すぐに誰かが声をかけますが、くまくんの本を作るなら、ぬいぐるみやコマ撮り映画が好きな私が一番きちんと世界観を伝えられる、と思いました」と話す。本は、くまくんのプロフィールページなど、遊び心のある世界観をしっかり表現している。

オレンジケーキを作るくまくん。(写真:『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』より)

「実用書」だけではない料理本のポテンシャル

当初は、プロの料理家でもない自分が、と躊躇していたママさんを、すでに他のメディアで紹介していたレシピの質の高さを認めていた横山氏が説得した。

「児童書という意識はなかったのですが、お子さんが読めるよう全部の漢字にフリガナを振ったという女性からファンレターをいただきました。書店営業の際も、販売担当者が連れてきた5歳の娘さんが、『今日はくまくん、動かないの?』と言ったのが印象的で、ふだんからくまくんが動いていると思ってくれているんだ、とトキメキました」(横山氏)

とうもろこしつくねを作るくまくん(写真:『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』より)
(写真:『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』より)

レシピの世界は、大多数が日々の献立を充実させる、料理技術を伝えるなどの目的で作られている。実用書という側面が強いが、映画や児童文学の再現レシピ、各国・各地域の文化を伝えるというジャンルもある。

くまくんの世界を表現するこのシリーズは、料理が持つ表現の幅の広さを教えてくれるものだ。そして、結果的に楽しさを伝える動画が、見る人に料理する気を起こさせる場合もあるのだから、面白い。今後も多様な料理の世界を表現する作品が増えると、私たちの暮らしはもっと豊かになるのではないだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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