海外からも熱い視線「料理するくま」の癒やし効果 インスタフォロワー約40万人、レシピ本も人気
しばらく放置していたが、製パン学校に通って開いたパン屋を閉めた後で、母親が手持無沙汰にする様子を見かねたのか、当時高校生だった娘に「このぬいぐるみはかわいいから、くまを使ってインスタを始めなさい」と促され、くまの写真を投稿し始めた。
かわいいくまの写真が何枚も並んだ自分のアカウントページを眺めるうち、人にもっと見てもらいたくなった。調べてみると、フォロワーやビュー数が多いのは料理の投稿と気づき、料理をくまの前に置いてみたら見る人が増えた。
その後コロナ禍に突入し、家にいる時間が長くなったことをきっかけに、独学でくまが料理するコマ撮り動画を作って投稿すると、急速に人気が上昇していった。やがてママさんは、「淡々と料理するだけではつまらない。ちょっと横道にそれて関係ないことをやるほうが面白い」、と工夫するようになった。
くまくんの腕が短いので、菜箸で遠くのモノを引き寄せるうち、「菜箸がバトンに見えてきてバトントワリングをしてみたり、娘より4歳下の息子が小さい頃に遊んでいたミニカーが1個残っていたので、ミニカーでモノを運ばせたりしています。どうしてもスムーズな動きを出しづらい部分で、見る人の関心をくまからそらせるためにミニカーを動かすときもあります」とママさんは説明する。
特に難易度が高い撮影を聞くと、「強いていえば、サンドイッチが難易度が低いぐらいで、全部大変です。ケチャップなど液体を入れる動作で、流れているようにコマ撮りで見せられるのはわれながら『匠の技』、と自画自賛しています」とママさん。特に人気が高い動画は、食材の変化も面白いスイーツ系だ。
なぜかドイツからの反応が熱い
フォロワーの中心は20~30代の女性で、幼い子どもに絵本を見せる感覚で観ている、といった人が多い。海外では日本に興味を持っている韓国や台湾、ドイツの人が目立つ。
何といっても多いのは、「くまがかわいい」、「くまの動きに癒やされる」といった声だ。「最近、つらいことがたくさんあったけれど、くまくんを見てちょっと元気が出ました」とコメントをくれる人も多い。
料理についてのコメントでは、「おいしそう」が断トツに多いが、他にも「ふだんは料理しませんが、くまくんの料理動画は見ます」「料理動画は最後まで見られないことが多いですが、くまくんは最後まで見ることができます」といった声がある。「料理をしなかった息子が、料理するようになりました」「くまくんを見ているうちに、めんどくさがらずに料理しようと思います」という人も。
詳しいレシピは投稿していないにもかかわらず、再現したという声も多く、写真をストーリーズにアップする人や、「作りました」とメッセージが来ることもある。もともとママさんは、「料理を作ってほしい」と願って始めたわけではなく、詳しいレシピを載せていないので、「あの情報だけでできたんや」と驚くという。
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