国策ラピダスとTSMC"2つの戦略"で決定的な差 早大・長内教授「ビジネスにストーリーがない」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

——ラピダスは差別化戦略として、新しい製造方法を導入することで製造期間を大幅に短縮することを掲げています。

戦略の可能性が狭すぎる。スピード戦略を掲げて、達成できなかったときにどうするのか。プランBがない。そうとうな額の公費を長い間つぎ込んだ末にプランBがないというのは、許される状況ではない。

もちろんラピダスが追い詰められた結果、そこでブレイクスルーを生み出す可能性はゼロじゃない。もしかしたらTSMCをはじめ大手企業は、規模が大きいのでラピダスのような効率化を図らなくてもよかっただけなのかもしれない。でもラピダスが実現できたら、競合も同じことをやり始めるだろう。そのとき、ラピダスの優位性は何になるのか。

装置・材料メーカーはラピダスが最優先ではない

——量産に欠かせない装置や材料メーカーとの連携にも、疑問を呈しています。

国が前のめりだからこそ、 各社の思惑が読みにくくなっている。出資会社も含めて前向きな意思表示をせざるを得なくなっている。装置や材料など関連メーカーにとって、何社かある顧客の1つとして一定のリップサービスは必要かもしれない。でも海外の大手メーカーよりも最優先でラピダスに協力するわけではないだろう。

だから、とにかく半導体生産では数を追うことが重要。生産数が増えれば、それだけ装置や材料メーカーにとって重要顧客になる。

——とはいえ、これまでに1兆円近くの公費が投入されています。これからラピダスが目指すべき方向とは。

量産を目指すのなら、なぜ量産ノウハウを持っている会社と提携しないのかが不思議だ。現状では研究機関のimecやIBMと協力しているのみ。ラピダスの小池淳義社長は日立製作所時代、台湾大手ファウンドリーであるUMCと合弁を組んだ経験もある。なぜ今回はそういう経験のあるファウンドリーを巻き込んでいないのか。

次ページラピダスしかできないビジネスとは
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事