明治「ザバス」が絶好調!プロテイン飲料最前線 まだ伸びるタンパク質市場へ「オイコス」も参戦

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目下の課題は間口の拡大だ。2023年度はヘビーユーザーの深耕が進んだ一方で、新規獲得には苦しんだ。

明治の調査によれば、プロテイン飲料全体の購入率は10%未満。つまり調査対象者の10人に1人も商品を購入していない。 急成長を続けてきたとはいえ、開拓の余地はまだ大きい。

そこで、新規獲得に向けて商品の拡充を進める。体を大きくしたい、引き締めたい、美容効果を得たいなど、プロテイン飲料を摂取する目的が多様化している点に着目し、ソイ(大豆)プロテインや女性向けの商品を拡充する構えだ。

ダノン参戦、プロテイン戦線は過熱

ザバス一強に見えるプロテイン飲料市場だが、今年4月、ついに「強敵」が出現した。ダノンジャパンだ。

同社はプロテインヨーグルト「ダノンオイコス」で国内シェア1位を誇る。そのオイコスブランドから初の飲料「ダノンオイコス プロテインドリンク」を発売した。タンパク質18グラムを配合したチルドの乳飲料(240ミリリットル)だ。

「ダノンオイコス」から満を持してプロテイン飲料が登場。ヨーグルトと異なるニーズがある(記者撮影)

飲料を発売した経緯について、ダノンジャパンの中川順子マーケティングディレクターは「運動前後は特にタンパク質の摂取ニーズが高い。ヨーグルトよりも手軽に、飲み物で摂りたいという需要に応えたかった」と話す。

朝食や間食として食べるヨーグルトと飲料は摂取タイミングが異なり、オイコス内での奪い合いは起こりにくい。また、ヨーグルトの認知度は高く、ユーザーが飲料に興味を持ちやすい点も強みだ。どれだけヨーグルトとの相乗効果を発揮させられるかが、今後のカギになる。

ダノンの参戦で、プロテイン飲料をめぐる戦いはさらに過熱しそうだ。多様化するタンパク質摂取ニーズをとらえ、差別化を図れるか。各社の開発力とマーケティング戦略が試される。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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