一方、ユーザーの視点では今、中国BEVを買うメリットがある。理由は、物品税率の優遇措置だ。
物品税率は現状、ICE:20%、HEV:4%、PHEV:4%、EV:2%だが、EV以外の税率を段階的に引き上げることが決まっている。
ICEは2026年1月から25%、2028年1月から27%、さらに2030年1月からは29%に。HEVとPHEVは、2030年1月からそれぞれ、10%と5%に上がる。しかし、BEVは2030年1月以降も現状の2%が維持されるのだ。
中国メーカーがBEVに対して戦略的な価格設定をしていることに加えて、こうした税制優遇がユーザーの中国BEVに対する購買意欲を刺激している。
ただし、現状で中国BEVに対するリセールバリュー(再販価格)は未知数だ。そのため、中国BEVに対するアーリーアダプターが一巡した時点で、中国BEVユーザー層がさらに拡大するかどうかなど、中国BEVを主体とするタイBEV市場の将来は不透明だと言わざるを得ない。
日系各社のタイ戦略は?
こうした先読みが難しい状況にあるタイ市場において、今回のバンコク国際モーターショーで日系自動車メーカー各社はどのような戦略を示したのか。各社の会見内容や展示モデルについて簡単に紹介する。
タイ市場で市場シェアの約3割を占めるトヨタは、日本でもお馴染みであるグローバルメッセージ「モビリティ・フォー・オール」や各種パワートレインを国や地域の社会環境に合わせて製造販売する「マルチパスウェイ」を強調。
ピックアップトラックでは、日本でコンセプトモデル「IMV 0(アイエムブイ ゼロ)」として公開済みのモデルを「ハイラックス チャンプ」と名付けて昨年末にタイ国内で発売し、多様な用途で活用できる利便性から販売を伸ばしている。
また、タイのリゾート地であるパタヤで、BEVピックアップトラック「ハイラックス REVO e」の実証試験を行うことも明らかにした。
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