花王の経営戦略を問題視「モノ言う株主」が急浮上 強面ファンドが社長の肝煎り戦略に「ダメ出し」

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ツルハHDでも取締役会が鶴羽順社長ら創業家に牛耳られており、ガバナンス面で問題があると訴えた。最終的にイオンに保有株式を約1000億円で売却することでエグジットしたが、手法は似ている。

今年3月にはMBO(経営陣による買収)をめぐって買い付け価格に異議を唱えた大正製薬HD案件でも、土地の売買について創業家を攻撃している。

だが今回、花王に突きつけた要求は、これまで得意としてきた“戦法”とは中身が異なる。

ブランド集約は”不十分”

8日の会見でセス氏は「海外大手ブランドと比べても花王のブランドは多すぎる。もっと絞り込むべきだ」と主張。さらに「優れた製品があるにもかかわらず、積極的な海外展開が見られない」と日本国外の市場へのより積極的な進出を訴えた。

花王の日焼け止め商品を手に取り、経営課題について熱く語るオアシスのセス・フィッシャー氏(撮影:尾形文繁)

確かに花王はここ数年、業績不振に悩まされてきた。

2019年度まで7期連続で営業最高益を更新したが、20年度以降は4期連続の営業減益。19年度に2117億円あった営業利益は、23年度に600億円まで縮小。23年度に計上した547億円の構造改革費用を除いても、収益悪化は明白だ。

背景にはインバウンド需要剥落や原料高騰といった外部要因のみならず、花王固有の問題が重なっている。

オアシスの指摘どおり、花王は過去10年間で商品数が倍増している。消費者ニーズの広がりに合わせて商品を細分化したためだが、結果として1つの商品に充てるマーケティング費用や研究費が分散した。

海外進出も出遅れている。花王の消費者向け(コンシューマープロダクツ)事業の23年度の海外売上比率は35%にとどまる。

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