「採用下手の会社」、9割がハマる"数字で評価"の罠 正しい意思決定に必要「計算の意味」という視点

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疑問に思った私はこの人物に尋ねてみました。すると、その答えは次のようなものでした。

「……なんでしょうねぇこの数字。とりあえず、なんとなく計算してみたんですけど。私にもよくわかりません(笑)」

ご本人は笑っておりましたが、これは笑い事ではありません。これが四則演算の意味をわからずなんとなく計算してしまうという現象です。そういえば先ほどの採用の事例において登場した方もこう言っていました。

「なんとなく、相乗効果っぽい意味の数字になる気がするから」

「なんとなく」が共通する言葉であることが気づいていただけると思います。

「計算の意味」がわかる人材になる

私はこのような事例を目の当たりにするたびに、人材育成・教育の分野で仕事をする者として「やらなければならないことがたくさんある」と強く思います。

先ほどもお伝えしましたが、ビジネスパーソンの皆様からは「計算はAIやエクセルがやってくれる」という発言をよく聞きます。もちろんその通りですが、計算を指示するのはあくまで人間です。四則演算や数字の意味がわからない人がAIやエクセルを使ったところで、その行為は無意味です。

計算の意味がわかっていない人のする計算は意味がない。

これはただの言葉遊びではなく、社会人教育において極めて重要なことの言語化です。なぜなら、企業の採用活動といった極めて重要な意思決定において、致命的なミスを生んでしまう可能性があるからです。

AI時代だからこそ、計算ができる人材ではなく計算の意味が説明できる人材が求められています。「なんとなく計算する症候群」に思い当たる節のある方は、どうかご注意ください。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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