「今の親世代が、いわゆる『ゆとり世代』だからなのかはわかりませんが、学校側が難しい課題を出すといった、子どもの勉強に負荷をかけることに対して、親がものすごく過剰に反応する印象を抱いています。
そもそも生徒への指導は、生徒たちが『解けるか・解けないか』微妙なラインの問題を解けるようにするものですよね。
『今日習った内容を応用したら、この問題が解けるはずだから、これを解いてみて!』『難しいかもしれないけど、この宿題をやってみよう! これが解けるようになれば成績が上がるよ!』と。
課題を出すと、学校を嫌がっていると抗議
しかし、それに対して親からクレームが入ります。
『うちの子がこんなに学校のことを嫌がってる! どうしてくれるんだ!』と。とにかく親が、子どものことを悪い意味で”子ども扱い”しすぎです。これでは勉強ができるようになるわけがありませんよ。親の意識を変えないと、子どもの成績が上がることはないと思います」
自身の高校に通う生徒と親の関係を見て、「子どもの勉強に対して、親がマイナスな影響をもたらしてしまっている側面がある」というのが、鈴木先生の見立てです。
こうした過保護とも思える子どもに対する扱いは昨今、「発達障害」や「グレーゾーン」と認定される子どもが増えている世の中の流れとも関係があるかもしれません。
2006年に発達障害の児童数は7000人余りだった一方で、2019年には7万人を超えたというデータもあります。
この流れについて鈴木先生に尋ねてみたところ、思い当たることがあるようでした。
「最近、生徒たちの親から『うちの子は、障がいがあるので、宿題を出さないでください』ということよく言われます。
『うちの子はタブレットを使うことはできますが、字を書くことができないんです。そういう障がいなので、そう扱ってください』と言われたこともあります。
でも、その生徒と話していると、私の感覚としては、別にちょっと字が汚いだけの普通の子なんですよ」
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