彼女が考えるシニア婚とは、お互いがこれまで生きたうえで培ってきた経験や、価値観を認め合いながら、共有できる時間を一緒に楽しく過ごすということだそうだ。60歳の定年までは働くので、「それまでは家庭生活よりも仕事を優先させたい」とも言った。
「ニコリともせずに雄弁に語るんです。その後に、『あなたの理想の結婚とは、どんなものですか?』と聞かれたのですが、『奥さんには、美味しいご飯を作ってほしいです』なんて言ったらバカにされそうで、答えに詰まってしまいました(苦笑)」
昭和30年代生まれのみきおにとっての結婚生活とは、男性が経済的な主軸を担い、女性は専業主婦か簡単なパートをして子育てを担う、というのが一般的なスタイルだった。また、そういう親に育てられて大人になった。
子どもの頃に流行っていた昭和歌謡やテレビドラマも、恋愛や家庭生活における男と女の役割は、明確に分けられていた。男は男らしく、女は女らしくという言葉がまかり通っていた時代を経て、大人になったのだ。
一方、そうした時代背景の中で、かなこは男と肩を並べて会社で仕事をし、今のポジションを勝ち取ってきたのだろう。彼女の中には、夫のために尽くす妻の写像はないし、そうした結婚生活は望んでいない。
そんな彼女に、「結婚したら、美味しいご飯を作ってほしい」と言えなかったみきおの気持ちは、筆者もわかるような気がした。
ただ、彼女がこの調子でお見合いをしていたら、成婚はかなり難しいだろう。同世代の男性たちは、これまでの伝統的な価値観のもとで役割を担うパートナーを選ぶ傾向にあるので、彼女を結婚相手としては魅力的に感じない気がするのだ。
確かに男女平等なのではあるが
一方で、かなこのような“男女がイコールな立場で結婚生活を送る”という結婚観を持った女性たちが、今の若い世代には増えてきている。
男性も自分が平均的な年収なら、一家の経済を1人で担うのではなく、フルタイムで女性にも働いてもらう共稼ぎ婚を望むようになった。そうした男性たちは、自己PRの欄に「家事育児はサポートします」ではなく、「分担します」と記す。
また、結婚相談所のプロフィールにおいて、女性が年収を公開するかしないかは任意で、数年前までは非公開にしている人がほとんどだった。
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