“たいして稼いでいるわけではないのだから、あえて公開する必要がない”という考え方がある一方で、“高すぎる年収だと、男性が引いてしまう”という理由も、そこにはあった。“できる女”は隠していたほうが、お見合いが組める傾向にあると思われていたのだ。
それが近年は、女性も年収を公開する傾向になってきた。
デートで食事をした時の支払いも、“払える男がカッコイイ”という考えは、いまだ残っているものの、“男が払うのが当然”ということをSNSなどで主張する女性には、非難の声が集まるようになった。そして、若い世代には、割り勘デートも浸透しつつある。
単なる言葉としての“ジェンダー平等”ではなく、社会がジェンダー平等に変わりつつあるのだ。それは、本当に素晴らしいことだ。結婚生活においても、妻と夫はイコールな立場でいるべきだと、筆者も思っている。
しかしながら、それを言葉や態度で全面的に打ち出している女性は、婚活市場の中では苦戦を強いられているというのも、現実である。
ワンオペ家事、育児はゴメン
やよい(40歳、仮名)は、婚活を始めて2年になる。都内の企業に勤めていて、年収は700万円。地方出身で、大学時代から一人暮らしを始め、一人暮らし歴は、かれこれ22年になっていた。
婚活を始めたのは、40歳という年齢が見えてきた時に、「できることなら、最後のチャンスで子どもを授かりたい」という気持ちが芽生えたからだ。
「結婚したいとは思っていたんです。ただ私は、どちらかというと、結婚よりもキャリアを優先してしまった。仕事を頑張れば、周りが評価してくれる。その達成感が心地よかったし、仕事を頑張ることが自己成長にも繋がっていました」
人一倍努力家で、頑張り屋。ただそうした自分が基準になっているので、婚活をする時の男性の見方もとても厳しかった。
「お相手に求めるのは、真面目に仕事に取り組んでいることと清潔感」と言っていたのだが、プロフィール検索をする時の条件に、年収が700万円以上、大卒も加えていた。
それでしばらくは活動をしたのだが、数人とお見合いをして、こんなことを言い出した。
「これから実家暮らしの男性は、対象から外そうと思います。これまでお見合いしてきた方を見てみると、実家暮らしの男性はパートナーを母親がわりにしようとする傾向にある。精神的に自立していない人が多かった気がします」
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