オーストリア鉄道「新型レイルジェット」の大進化 特急車両も「低床化」でバリアフリーを徹底

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車内設備で興味深い点としては、初めて飲み物の自動販売機とコーヒーマシンが車端部の数カ所に設置されたことだ。

新型レイルジェット 車内自販機
車内数カ所に設けられた自販機とコーヒーマシン(撮影:橋爪智之)

これまでは車内で食料や飲料を調達しようとすると食堂車まで行かなければならなかったが、ペットボトル飲料やサンドイッチなどの軽食、コーヒーなどは自席近くの自販機で調達できるようになった。

食堂車は1両のうち半分を2等客室とした合造車で、車体中央の低床部分に調理場と食堂の座席を設けている。向かい合わせのテーブル席だけではなく、窓側にテーブルを配置したカウンター席も用意された。

2等車は、車いす対応車両を除いて構造はほぼ同一で、横2+2配列の座席が並ぶオープン席と、6人部屋個室の車端部コンパートメントで構成される。2等車のうち1両は車いす対応車両で、車体中間の低床部分に計3台の車いす積載スペースを確保している。他の車両も低床にはなっているが、ドア開口部の寸法や、車いす対応トイレの有無などが異なる。

新型レイルジェット 食堂車
食堂車はテーブル席のほかにカウンター席もある(撮影:橋爪智之)

新型登場で何が変わる?

新型レイルジェットは8編成が納入されており、19編成が追加発注されたため、合計27編成が発注されたことになる。最初の編成はイースター休暇が始まる3月22日、プレスへのお披露目イベント終了後にそのまま営業運転を開始。まずはウィーン―フェルトキルヒ間の臨時インターシティで慣らし走行を行った。しばらくはこの臨時列車で運行を続ける予定で、編成が出揃った4月以降は、ドイツのミュンヘンとイタリア各都市との間を結ぶ国際列車への投入が予定されている。

新型レイルジェット1番列車
営業初日の1番列車はフェルトキルヒ行きの臨時インターシティだった(撮影:橋爪智之)

新型レイルジェット投入により、もともと高い品質で評判のオーストリア鉄道は、より充実したサービスを提供できる体制が整えられたことになる。地方都市方面へ残っていた特急インターシティをレイルジェットへ置換えることで、サービスの充実化を図ることが可能となり、古いインターシティ車両を退役させることが可能となる。一方で昨年末に問題となった、故障離脱による運休や遅延を解消する意味でも、新型車のさらなる投入が待たれるところだ。

レイルジェットのブランドは、名実ともにオーストリア鉄道の顔として、今後もオーストリアおよび周辺各国での活躍が見られることだろう。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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