オーストリア鉄道「新型レイルジェット」の大進化 特急車両も「低床化」でバリアフリーを徹底
初代と同様、編成の一端に運転室付きの制御客車を連結しており、もう一端に連結した機関車が牽引・推進するプッシュプル運転を行うことが可能だが、制御客車を先頭にした推進(プッシュ)運転の許可は下りておらず、2024年4月の時点では機関車が先頭となる牽引のみ、もしくは編成の両端に機関車を連結しての運行となっている。同じプラットフォームを採用した新型夜行列車「ナイトジェット」も同様の措置を取っている。
編成は、初代レイルジェットの7両から2両追加されて9両となり、編成長は約240mとなった。
欧州のTSI(相互運用性の技術仕様)の規定では、2編成を併結した際の編成長は最大約400mと定められており、近年製造された多くの車両はこの規定(1編成あたり約200m)に収まるように設計されている。初代レイルジェットもこの規定に収まる(185m+機関車)が、新型レイルジェットは当初から国際運用で併結運転は行わず、単独運用を前提とした設計であることがわかる。
9両の内訳は、ビジネスクラス(特等)を含む1等車が2両、半室2等/食堂車が1両、車いす対応2等車が1両、ほかの5両が一般の2等車だ。
ホームに合わせて車両を「低床化」
新型車両の最大の特徴は、9両編成のうち前後の各1両を除く7両の車体中央部分(台車間)が低床構造となっている点で、以前の記事でご紹介した新型ナイトジェットの座席車(2023年12月29日付記事「欧州『新型寝台車』需要拡大だけでない導入の理由」)とまったく同一の構造だ。
低いホームが多い欧州では、バリアフリー化のために低床構造の車両を導入する国が増えており、レイルジェットもそれにならった格好だ。とはいえ、ホームの高さは各国でバラバラのため完全な段差の解消は難しく、実際に同型の新型ナイトジェットを利用した車いすユーザーの乗客からは、ドイツのハンブルク駅で下車する際に少々難儀した、という声を聞いた。このあたりは最大公約数でカバーするしかないと言えよう。
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