モスの「音楽レーベル」面白いけど厳しそうな理由 消費者のメリットは? バイト的にも魅力薄め?

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①企業PRの観点でインパクトがあること

第1に、企業PRの観点でインパクトがある。

他社に先駆けた画期的な取り組みであるだけに話題性は抜群で、実際、リリースが出された直後からネット上を中心に話題を集めている。つまり、レーベル設立のニュース自体が求人告知を兼ねているわけだ。優秀な人材を惹きつける効果もあるはずだろう。

②音楽シーンを支援する「カルチャー企業」としてのイメージ構築ができること

第2に、音楽シーンを支援する「カルチャー企業」としてのイメージ構築だ。カルチャーへの理解を示すことで、ブランド価値の向上にもつながる。

モスレコーズ
MOS RECORDS第1回オーディション詳細(画像:MOS RECORDS HPより)

そもそもモスバーガーは1990年代、「モスモス」というミニコミ誌を発行していたこともある。こうした取り組みは、モスバーガーが創業した当初、すでに日本にあったマクドナルドとの差別化をはかるために掲げた「クオリティの高いバーガーを提供する」という創業の理念にも通じる。

単なる「ファスト」な利益追求ではなく、豊かな食文化の提案をはじめとした「スロー」なものに対する目配せは、同社が意識してきたことであった。

また、2024年2月には、放送作家の小山薫堂を社外取締役にすることも発表し、カルチャーとの接点を積極的に持とうとする同社の取り組みが見えてくる。その延長線上に、「モスレコーズ」の設立があると考えられるし、その点でのイメージ構築には、明らかに一役買うはずだ。

フランチャイジーの人々の協力が得られるのか?

一方で、「モスレコーズ」には「うまくいくのか?」と思わせる点もある。中長期的に成功するかは予断を許さない状況で、場合によっては、「黒歴史」になってしまう可能性があることも否定はできない。
その理由が、以下の3点だ。

①本社と各セクターとの温度差のすり合わせ

②取り組み自体の有効性とその評価の難しさ

③音楽とサービス業のタイアップは苦戦の歴史だった

以下、詳しく説明しよう。

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