人の欲求に最大限応え形作られた日本のラブホ 昭和、平成、令和…日本ラブホテルの変遷史

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⑤SNSで呼び込みたい令和のラブホテル

令和になると、SNS映えを意識したためか昭和時代の華美さを取り戻す。同時に、進化した技術を駆使し、快適に過ごせる空間作りを徹底している。平成と昭和のハイブリッドだ。

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「コンセプト」を重視し、SNS映えも……令和のラブホの一つ(写真・筆者)

令和の代表格として私が推しているのはSARAグループ。 異彩を放つホテルグループだ。東京・五反田、錦糸町をはじめ、千葉・南船橋、埼玉・川越などで展開する。最大の魅力はハイクオリティなコンセプトルームと奇天烈なルーム名で、「教室」「電車」「診察室」「社長室」などのコンセプトルームは運が良くないと入れないほど人気だ。

病院、電車、映画館など、実際の場所ではできないけれど、ここなら実現できることがある。昭和は非現実的な夢を見せてくれるが、令和では現実の延長にある夢を見せてくれるのかもしれない。

ラブホの料金表も魅力の1つ

昭和ラブホテルの料金表形式の展示をしていると、次によく聞かれた質問はこうだ。「今もこの値段でやっているんですか?」。

答えはイエス。地域差はあり多少の変動はあるものの、地方郊外の価格はほぼ同じではないかと思う。つまり日本の経済が伸びていないのか、と考えてしまうが、単純に内装には大きな手を加えていないので、上げていないと考えられる。

最近は原油や燃料の高騰などで、500円ほど上乗せするところもあるが、それは致し方ない。最先端をいく令和のレジャーホテルは、サービスも充実して、清潔な空間が求められるので、それなりに価格帯が上がる。

地方遠征した際に最もよく利用しているのは、平成時代のホテルだ。昭和に比べると冷暖房、水回りのインフラはしっかりしており、かつそこそこきれいだ。とはいえ、最新の内装デザインではないので価格は抑えめなところが多い(すべてあくまで私見です)。

私は、ラブホに入ったときの料金案内表が大好きだ。全部屋の写真と料金が1カ所に詰め込まれ、視界に入り切れないほどの情報量が詰まっている。どの部屋をチョイスしようか、学生のように悩んでしまう。

最近のホテルは、画面のタッチパネルになっている。少し物悲しくもあるが、それも時代なのだろう。

『HOTEL目白エンペラー』(那部亜弓/東京キララ社/2000円+税/128ページ)

「なぜ、ラブホテルの写真を撮っているんですか?」ともよく聞かれる。史料価値として高い写真を撮影し、記録・保存している。これらのラブホテルも老朽化が進めば、廃業してしまうかもしれない。

現に活動を始めた6年弱の間に多くのホテルが閉業している。でも50年後、100年後にまた昭和のようなホテルが作られるようになるかもしれない。あるいは、再現したいと思う人が出てくるかもしれない。その時、私の撮り溜めた写真を活用してもらえたら嬉しく思う。

那部 亜弓 フォトグラファー

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なべ あゆみ / Ayumi Nabe

千葉県出身在住。2005年に親の死をきっかけに廃墟に目覚める。
2018年頃から現役廃墟問わず、全国の個性的ラブホテルを追求する。
カメラマンとして出張でカップルの撮影なども行なっている。
Instagram毎日更新。トークイベント、写真展、ホテルの見学会などを実施。

閉店したラブホテルから回転ベッドを自宅に移設。
絶滅危惧種である回転ベッドを保護し、現在、撮影スタジオにするべく、内装をDIYしている。『モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集』『知られざる日本遺産~日本統治時代のサハリン廃墟巡礼』、近刊に『ホテル目白エンペラー』など

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