中国の銅製錬業界が「協調減産」に合意した背景 需要減少に生産能力過剰が重なり採算割れ

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銅製錬業界の苦況の原因は、銅製品の需要縮小だけではない。ここ数年、中国の製錬会社は生産能力の拡大競争に邁進してきた。

その結果、2023年の中国の銅製品生産量は前年比13.5%増加し、過去最高の1299万トンに達した。これは世界生産量の5割近くに相当する。

銅製錬会社の拡大競争が、業界全体を生産能力過剰に至らしめた。写真は国有大手の紫金鉱業集団が黒竜江省に建設した製錬所(同社ウェブサイトより)

中国の製錬会社の拡大競争は、原料である銅精鉱の不足を招き、海外からの輸入増加に頼らざるを得なくなった。2012年に60%前後だった中国の銅精鉱の輸入依存度は、2023年は80%前後に上昇した。

過去にない規模の設備過剰

「中国で建設中または計画中の銅製錬設備の生産能力は、過去に何度も経験した建設ブームのどのピークをも大幅に上回る。(拡大競争に後れを取るのを恐れて)スピードを競う心理が需給バランスの偏りを招き、業界全体を生産能力過剰に至らしめた」

中国有色金属工業協会の会長を務める葛紅林氏は、2023年10月に開催された銅業界のフォーラムで危機感をあらわにしていた。

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冒頭の座談会では、(協調減産に加えて)過剰生産能力問題への対応についても協議が行われた。その結果、銅製錬業界への参入障壁を高めることや、生産能力のさらなる拡大を厳しく規制することなどで、参加企業および所管当局の意見がまとまった。

具体的には、中国政府の所管当局が銅製錬設備の新規建設計画の認可基準を厳しくすると同時に、製錬企業側も当局が進める過剰生産能力の調整策に(主体的に)協力し、生産能力のさらなる増加を抑える方針だ。

(財新記者:羅国平)
※原文の配布は3月14日

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